2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで使用する表彰台を、使い捨てプラスチックの再生利用で製造する計画の発表会見が13日、都内で行われ、大会組織委員会の森喜朗会長らが出席した。19日から全国のスーパーでプラスチックごみを回収し、約100セットの表彰台製造を目指す。

東京大会はこれまで入賞メダルを都市鉱山の再利用から製造。選手村のビレッジプラザを63自治体の木材から建設し、聖火リレートーチも被災地の仮設住宅で使われたアルミサッシから造るなど、持続可能な社会実現に向けた計画を打ち出してきた。森会長は「金属、木材、最後にプラスチックが加わることで持続可能性の取り組みで、最後のピースを埋めることができる」と語った。

会見に出席した空手女子組手の植草歩は「リサイクルされた表彰台の一番上に上る決意をした」と東京五輪での金メダルを誓った。16年リオデジャネイロパラリンピックの女子トライアスロンで6位入賞だった秦由加子は「このプロジェクトに関わったということは、表彰台に上るという流れなんだと思って今後、取り組みたい」と意気込んだ。

組織委は、プラスチックによる海洋汚染が大きな環境問題となる中、持続可能な社会の実現に向け、大会後にも同様の習慣が続くようなレガシーにしたい考え。今月末に開かれるG20大阪サミットでも東京大会のブースを設け、世界に発信する。

大会最高位スポンサーの米家庭用品大手プロクター&ギャンブル(P&G)と連携して実施する。対象製品はプラスチックボトル、詰め替え用パックで、衣料用洗剤、柔軟剤、台所用洗剤、ヘアケア製品、消臭芳香剤など。同社製品でなくても構わない。ペットボトルは材質上そぐわないため、対象外となる。

目標量は45トンで、その中から五輪・パラで必要な約100セットの表彰台を製造する。全国約2000店のイオングループ店舗で回収する。プラスチックボトルと詰め替え用パックの重さは平均で約30グラムといい、45トン集めるには約150万個が必要という。組織委の担当者はスーパーで集める理由を「大会後も買い物時に持って行くような習慣が続くように」と語った。

プラスチックだけでは強度が足りないため、聖火リレートーチと同様、福島県の仮設住宅で使われていたアルミサッシを再利用し、一部を表彰台の骨格に使用する。過去大会では木製が中心で樹脂製もあったが、プラスチック製は初となる。

表彰台のデザインは大会エンブレムのデザイナー野老朝雄氏が手がける。お披露目は来年6月を予定している。大会後はメダリストの母校や、各地域の競技場などに譲渡し、レガシーとして活用することを検討している。