2020年東京オリンピック(五輪)の開幕(同7月24日)まで残り1年となるのを前に、メインスタジアムとして今年11月末に完成する新国立競技場(東京都新宿区)の建設現場が3日、報道陣に公開された。

建設作業は全体で9割近くまで完了。85媒体212人もの報道陣が集まり、注目の高さをのぞかせた。東京アクアティクスセンター、有明アリーナ、有明体操競技場(全て江東区)、選手村(中央区)も公開された。

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47都道府県から調達した木材を使った外周のひさしなど外装工事はほぼ終わった。木材と鉄骨を組み合わせた巨大な屋根が観客席の上にせり出し、緑や茶色など落ち着きのある色の観客席は、完成時の約6万席のうち約4万5000席の設置が終わった。今月中旬にフィールド内に芝生を敷き、8、9月に陸上トラックを仕上げる工事を実施する。

懸案の暑さ対策として空気の循環を促すファンを185台、ゲート付近などにはミスト冷却設備を8カ所設置。日本スポーツ振興センター(JSC)の担当者は「夏でも涼しいと体感いただけると思う」と語る。南北にはフルハイビジョンの大型映像装置も設けた。観客席は大会後に改修し、約6万8000席となる。

JSCは、こけら落としイベントの概要も発表した。「国立競技場オープニングイベント~HELLO,OUR STADIUM.~」と題し、12月21日午後に行われる。アスリートだけでなくアーティストも出演する音楽を交えたイベントとなる。チケットは8月下旬から販売する。

新国立の完成後の名称は、かつての「国立競技場」に戻る。同月中旬には関係者による竣工(しゅんこう)式を行う。来年1月1日のサッカーの天皇杯全日本選手権決勝が、スポーツでは初めての大会となる。

イラク出身の英建築家ザハ・ハディド氏(故人)の計画が建築費高騰により白紙撤回され、現在の隈研吾氏による「杜のスタジアム」に変更されるなど、紆余(うよ)曲折あった新国立が、いよいよ完成に近づいてきた。