ママでも五輪代表を狙う。セーリング日本代表激励会が12日、東京・渋谷区の東郷記念館で行われ、18年世界選手権で日本女子初の金メダルを獲得した、470級吉田愛(38=ベネッセ)、吉岡美帆(28=同)組が東京五輪出場をかけたレースに向け、抱負を語った。

13年4月に吉岡とコンビを組んだ吉田は、16年リオ五輪後に長女・琉良(るい)ちゃん(2)を出産。12年に結婚した夫で元ロンドン五輪代表、雄悟氏の指導のもと、夫婦二人三脚で、子育てをしながら練習に打ち込んでいる。吉田は「周りのサポートがなければここまでできなかった」と感謝する。

女子470級の東京五輪代表選手は、3月にイタリア・パルマで行われたプリンセスソフィア杯と、8月にともに東京五輪会場の神奈川・江の島で行われる世界選手権とワールドカップ(W杯)の結果で決まる。昨年の世界選手権を制覇した後、調子が上がらない時期が続いているが、8月に向けて調整は順調だという吉田は「(連覇のかかる)世界選手権が重要。成績は残したいが、まずは代表に残ることが一番」と意気込みを語った。

7年目となる吉岡とは年齢差や身長差もあり、性格も反対で周りから「でこぼこコンビ」と呼ばれている。吉田ははっきりと意見を言う性格に対し、吉岡はおとなしく、無口になって考え込むタイプ。意見が合わずもめることもあったが先輩の吉田がリードし、雄悟コーチも吉岡に声をかけコミュニケーションを取るようにして絆を深めてきた。吉岡も「いつも引っ張ってくれるので、しっかりついていきたい」と信頼を置く。

昨年から琉良ちゃんをよく一緒に海に連れて行くという吉田。最近は自分が載っている雑誌にも気付くようになったという。「自分も父母に教わったので、将来は子どもにも教えたいですね」。親子二代での五輪出場も思い描きながら、まずは「でこぼこコンビ」が東京五輪出場を決めるべく、勝負の8月に挑む。【松熊洋介】