【光州=益田一弘】400メートルリレーで女子の日本(大本、青木智、佐藤、白井)が東京五輪出場枠を獲得した。

上位12カ国・地域に同出場枠が与えられる予選で日本新記録3分36秒17で全体の5位に。従来の記録3分36秒52(池江、酒井、青木智、五十嵐)を更新。白血病で闘病中の池江璃花子(19)に届ける新記録となった。決勝は青木智、佐藤、白井、大本の順で3分36秒79で7位だった。男子(中村、塩浦、松元、難波)は予選9位で敗退したが、出場枠を手にした。

青木智は、本番プールでのアップ前に思った。「あ、今日、璃花子がいないんだな」。五輪切符がかかる予選前にあらためて実感した。2月の白血病公表時に池江から「自由形を引っ張っていってほしい」と頼まれた24歳。「今までは池江さんがいるから大丈夫だろうという気持ちがどこかにあった」。リレー経験豊富な青木智が、新メンバー3人をまとめて新記録。「不在の中で日本記録が出せて、これで池江さんの励みになればいいと思います」。

池江が務めてきた第1泳者は初出場の大本。100メートルの自己記録は池江に1秒37及ばない。「池江さんのタイムにはほど遠いですが、早くそういう存在に近づけるように」と誓っており、自己記録に0秒05差の54秒21で泳いだ。1日で4レースを泳いで200メートル個人メドレー決勝に進出した。

池江も泳いだ18年ジャカルタ・アジア大会の日本記録を更新。大本は「予選から、みんなで日本記録を出して決勝に進むことが目標だった」。大本、青木智とつないで、佐藤、白井も力泳した。佐藤は「璃花子ちゃんの存在はやっぱり大きい」。アンカー白井は「璃花子がいない分、チームとしても期待される部分が少なくなってしまうのかなと思うけど、チーム一丸となって璃花子のために頑張ろうと思っている」。

韓国出発前夜の16日。日本代表合宿の全体ミーティングで、最年長69歳の鈴木陽二コーチが「璃花子のためにも頑張ろう」と選手たちに呼びかけた。日本新記録&五輪切符獲得で、光州の夏が始まった。