3月の世界選手権以来の実戦で今季初戦の羽生結弦(24=ANA)が、ショートプログラムで98・38点を記録して首位発進した。大歓声を受けながら、第1グループの4番滑走で登場。昨季に続き曲は「秋によせて」。冒頭の4回転サルコーは転倒して回転不足の判定となったが、続くトリプルアクセル(3回転半)と、4回転と3回転の連続トーループは完璧に着氷。華麗なステップとスピンで魅了したが、演技終了後はリンクの上で顔をしかめて、悔しそうな表情を浮かべた。

昨季はシーズン中盤で右足首を負傷し、思うような演技が出来ずに、自身の中で納得するシーズンではなかった。2位だった世界選手権の悔しさもあり、SPとフリーは昨季と同じ曲を使用。再出発の初戦だったが「世界選手権の失敗を引きずっている。初戦だからという感じではなく、調整不足ではない。世界選手権との距離感が近いが故に力みがある」と反省。ジャンプを跳ぶ瞬間に嫌なイメージがあるのかと問われると「無駄に意識する。この時にこういうミスしたなって」と振り返った。

ショートもフリーも昨季の再演。だからこそ「もう24、5(歳)のシーズン。シニアになって10年近い。いいかげんショートで失敗するのやめなよって思う。やっぱりスケートって奥深いなって思う」としみじみとした。

14日(日本時間15日)のフリーに向けて「毎回ノーミスを目指している。いつもの初戦と違って、完成形が見えている状態で臨んでいる試合。練習で作ってきた完成形を本番の舞台で出し切りたい」と意気込んだ。