【トリノ(イタリア)4日=佐々木隆史】フィギュアスケート男子の羽生結弦(24=ANA)が、出場するグランプリ(GP)ファイナル(5日開幕)が行われる、パラベラ競技場で公式練習を行った。練習開始直後には、右手を胸に当てて何かをつぶやき、笑みを浮かべるなどリラックスした様子だった。

トーループ、ループ、サルコーの3種類の4回ジャンプを跳ぶと、自身の曲かけ練習直前には4回転ルッツを鮮やかに着氷。17年10月のロシア杯で初成功し、同年11月のNHK杯での練習中に負傷して以降、2年間封印してきた大技を決めた。フリー「Origin」の曲かけ練習では4回転ルッツには挑まなかったが、トリプルアクセル-トリプルアクセルの連続3回転半ジャンプを跳んで会場を沸かせた。

会場は憧れのエフゲニー・プルシェンコ氏(ロシア)が、06年トリノ五輪で金メダルを獲得した場所。練習後には「会場自体に大きなエネルギーがある。スケートにのめり込んでた時期にオリンピックがあった場所。勝手に力をもらいながら演技したいなと思っていた」と特別な感情を抱いていた。

フリーで4回転ルッツを組み込むかについては「感触はとりあえずよかった。まずはショートプログラムに集中したい」と肯定も否定もせず。リンクの感触については「スケート自体がワクワクした。楽しいと思えるぐらい好きです」と話すなど、好感触を持っていた。男子フリーが行われる7日は、25度目の誕生日。「心の底から『やった!』という誕生日にしたい」と、男女通じて最多となる5度目の優勝で花を添える。