冬の風物詩でもある第99回全国高校ラグビーは、27日に東大阪市の花園ラグビー場で開幕する。日刊スポーツではWEB連載として、今秋のW杯で活躍した日本代表選手の母校8校を紹介する。

第3回は前回大会準優勝の桐蔭学園(神奈川)。世界が注目するトライゲッター、WTB松島幸太朗(26=サントリー)を育てた学校に迫る。

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前回大会決勝、2点差で涙をのんだ桐蔭学園は、松島を擁した90回大会以来の優勝を狙う。昨年もレギュラーとして花園のピッチに立った高校日本代表候補のSO伊藤大祐主将(3年)は「あの瞬間は(大阪桐蔭に)負けたと思ったけど、次の瞬間からは自分たちの時代が来るなと思った。そこから1年間しっかり準備してきた」と闘志を燃やす。

前回大会で右手を負傷し、主将に任命されながら3月までプレーできなかった。その間裏方に徹し、チームを外から支えることで周りが見えるようになった。春の大会の内容が納得いかず、自分たちでミーティングを行うようにした。伊藤も積極的に自分の意見をぶつける。「ウエート(トレーニング)1つとってもアイデアを共有してメニューを考える。徐々にみんなの意見も活発になってきた」と手応えを感じている。藤原監督も「私はほとんど指示はしてません。全部自分たちで考えて練習をやっている」とすべて選手に任せている。

昨年の大会前には松島自ら母校を訪れ、後輩を激励した。今年は多忙で実現していないが、史上初の5トライを奪ったW杯での活躍は選手の脳裏に焼きついている。アイルランド戦は全員でTV観戦、躍動する先輩の姿に立ち上がって喜ぶシーンもあったという。「今までの先輩たちがやってきたものを受け継いでいく。」と大先輩と同じ全国頂点に立つ思いは強い。

福岡県出身。SO伊藤は小1でラグビーを始めたが、柔道との二刀流だった。柔道は九州大会に出場するほどの実力。あまり好きではなかったが、受け身や、身のこなしなどが、今のラグビーに生きているという。西の強豪東福岡へ行く選択肢もあったが「桐蔭の方がボールの動かし方など日本代表にも似ていた」と自分のプレースタイルと合った桐蔭学園に進学。高校日本代表候補にも選出された。

初めて決勝に進出した85回大会から6回の決勝を戦い、優勝したのは90回大会の東福岡との両校優勝1回のみ。もう準優勝はいらない。伊藤は「花園の開会式を迎える時点で、すでに優勝するという気持ちを持って臨む」。今年のスローガンは「一心」。プレーに心を込め、周りに流されず一心不乱に、心を1つにしてシルバーコレクターの汚名を返上し、今度こそ初の単独制覇を成し遂げる。【松熊洋介】