新型コロナウイルス感染拡大の影響で練習が制限される中、柔道のトップ選手たちがSNSで紹介する1人でもできる「トレーニング動画」が注目を集めている。

発起人は、東京オリンピック(五輪)で2連覇を狙う男子73キロ級の大野将平(28)や16年リオデジャネイロ五輪男子100キロ級銅メダルの羽賀龍之介(29=ともに旭化成)、男子66キロ級で五輪2大会連続銅メダルの海老沼匡(30=パーク24)、15年世界選手権男子100キロ超級銀メダルの七戸龍(31=九州電力)、女子52キロ級で五輪2大会銅メダルの中村美里(31=三井住友海上)、女子代表の秋本啓之コーチ(34)、12年ロンドン五輪女子78キロ超級銀メダルの杉本美香さん(35)の計7人。

全日本柔道連盟が発表した段階的な練習再開に向けたガイドラインに基づき、現在も相手と組み合う稽古ができないため、創意工夫した練習動画を共有することが目的。SNSには、企画名の「#standupjudo」の#(ハッシュタグ)とともに動画が次々と投稿されている。

大野は壁に手をついて足を繰り返しはね上げる内股の稽古などを披露。羽賀は飛び込み内股の単独打ち込みや、海老沼は握り強化のためにつるした道着を持って懸垂するなどアイデア満載のトレーニングを紹介している。一部から「一流選手が技の極意を公開して大丈夫」などの声が上がるほど“お得な情報”である。

このプロジェクトは競技レベルや年齢に関係なく参加できる。立ち上げメンバーたちは「柔道はコンタクトスポーツのため、他競技と比べても再開できるのはかなり先になるのではないかと考えています。皆さんの日常から柔道が消えてしまわないように、心の中に柔道の火をともし続けるために、柔道家の力を1つにして立ち向かいたい。今の環境で創意工夫した練習やトレーニングを柔道家みんなで共有して、この危機を乗り越えていこう」とメッセージを送った。