高梨沙羅(24=クラレ)が合計231・5点で史上初の4連覇を達成した。6度目の優勝は歴代最多。1回目最長不倒の94・5メートルを飛んで1位で折り返し、2回目も93メートルのK点越えで首位を守った。大会開催への感謝の思いを胸に臨んだ22年北京五輪プレシーズン初戦、好スタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

高梨が大ジャンプを見せると、歓声が起こる。飛距離がアナウンスされると、どよめく。いつものジャンプ台らしい光景に、負けない高梨の強さ。「やっと戻って来られたなって感じがした。久しぶりにお客さんに見てもらいながら飛べたので、自信につながった」。マスク越しでもわかる笑顔で喜びを語った。

夏場は不安との戦いだった。例年出場している海外でのサマージャンプ大会の出場もかなわず、3月のW杯を最後に試合から遠ざかった。試合勘がないなかで「何が正解なのか不安になりながら練習してきた。迷いながら、探りながらだった」と振り返る。トレーニングをしても、その成果を試す場がない。気持ちを切らさないようにするのも苦労した。

だが、気づいたことがある。「やっとこうして試合を迎えられた。自分に何ができるか考えた時、飛ぶことしかできない。いいジャンプをすることで、応援してくださる方々に喜んでもらいたい」。今季はより一層、その使命感を抱いて競技に向き合うつもりだ。

北京五輪開催が来季開催されることを信じて、突き進むしかない。そのスタートを、まずは勝利で飾れた。歴代優勝記録を更新する最多6度目V。昨季樹立した連覇記録も4大会連続に伸ばした。「最初にいい感覚をつかめることができて良かった」と、決して満足はしていないが、納得する。五輪にはずみをつけるシーズンが、やっと始まった。【保坂果那】