【グルノーブル(フランス)21日=松本愛香通信員】フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦フランス杯で女子9位となった横井ゆは菜(21=中京大)が、フリーから一夜明けて現地記者団の取材に応じた。

年々レベルが上がるシニアの世界に身を置き、演技する中で変化する心境は? 

ともに出場した樋口新葉(20=明大/ノエビア)、GP第4戦NHK杯を制した坂本花織(21=シスメックス)など、幼少期から切磋琢磨(せっさたくま)してきた同学年の存在は? 

大学3年生…今、考える将来は? 

つかの間の気分転換…好きなYouTuberは? 

会場だけで語った主な一問一答は以下の通り。

--興奮が高まったフリー。落ち着いて振り返って

「やっぱり『自信を持ってやればいいのにな』って、後から思うことはたくさんありました」

--コーチからはどのような言葉が

「どうしても『謙虚』っていうのを通り越してしまうような、心持ちになることが多くて。私は普段から自分の気持ちを全部話すので、そういうことも分かった上で接してくださるんですけれど『ちゃんと認められている部分もあるから、どうやって磨くかだよ』と声をかけてくださいました」

--性格的に真面目に考えすぎる

「真面目に考えるっていうよりは、多分どんな人でもぶつかる壁というか…。成長する過程で、やっぱり考えることが増えたっていうのが大きいかなと思います」

--大会中には「この年齢になると」という話があった。いつから考え始めた

「やっぱり先輩の選手が引退していったりだとか、多くの選手は大学4年生で(引退)ということもあるので、その年齢にだんだん自分も…。遠かった物が近づいてくるっていう感覚です。周りの大学の友達も、もう就職のことを考え出したりしているので、その中でちょっと自分だけが置いていかれているような。『このままでもいいのかな?』っていう気持ちがあるんですけれど、でも昨日も言ったんですが、それって『スケートどうしよう、とか思っているくせに』とも思います。やっぱり良い演技ができた時は『これ以上の快感、喜びはないな』と毎回感じるので、そのためにやっているんだなってつくづく思います」

--スケートへの向き合い方で整理されたことは

「出発の少し前から気持ち良く練習ができるように、調子に左右されずに練習ができるようになりました。多分その期間がちょっと試合に向けては短すぎたので、これから帰って(12月の)全日本(選手権)まで少し時間があるので『練習していて楽しい』って思えるように自分や感情をコントロールして練習を積めたらいいかなと思います」

--今まではあまりそのようには思えなかった

「そうですね。今まではやっぱり、勝負の世界ですし、こうしてレベルも上がっているので、ミスしてしまうと、本当に勝負にならないのが現状。どうしても失敗っていうことに気持ちを持っていかれてしまっていました。でも、よくよく考えてみたら、私は練習でできないことを試合でできるタイプではない。そりゃあ、失敗して当たり前というか。この心持ちが良いか、悪いか分からないんですけれど、少しハードルを下げてというか。失敗しても『じゃあ、他にできることは何だろう』と考えないと、どんどん追い込まれてしまう。ここ最近気づけたので、それを良い方向に向けていけたらと思います」

--いとこの田中亮明が東京五輪のボクシングで銅メダルを獲得した

「よくその質問を頂くんですけれど、刺激っていうのは全くなくて…。本当に『一応援者』っていう感じです。やっぱり私が刺激をもらうのは同じ競技者。今回だったら、同い年の(樋口)新葉ちゃんと一緒に試合に出させてもらった。やっぱりずっと挑戦し続ける姿勢だったり(坂本)花織ちゃんでもそうですけれど、私の同世代には素晴らしい選手がたくさんいる。そういった選手と一緒に今、この舞台に立てているっていうのはすごく刺激になりますし、少しでも追いつこうと思ってできるので、良かったなと思います」

--中京大での練習環境は

「(松生)理乃ちゃんだったり(山本)草太だったり、本当にトップで戦っている選手や、そうじゃなくても今の自分の目標に向かって一生懸命練習している選手がいます。中京大でも刺激を受けながら練習ができている。すごく自分にとっては『プラスの環境だな』と思います」

--周りが就職を考え始めている中で、描いている将来は

「分からないですけれど、もし、このまま企業に就職したとしたら、休みの日に先生のアシスタントで小さい子たちを指導できたら…。アドバイスするのはとても好きなんです。ちょっと前なんかは、私が練習で疲れたり、気持ちがちょっと“ポヨ~”ってしていると、先生は私が教えるのが好きなのを分かっているので『ちょっとこの子見てあげて』と言ってリフレッシュさせてくださいました。アドバイスしたことによって、その選手がよくなったりするのがやっぱり気持ち良い。なんか『あ、うまくハマってよかった。自分の経験が生きてよかった』ってすごく思えるので、やっぱりそういうこともしていきたいです。でも、本当に今、日に日に将来についての考えが変わっている状態なので、今こんなことを言っていても、明日『やっぱり違うな』と思ったりしています(笑い)。あんまり信憑性っていうか一貫性ないんですけれど、その時になったら、その時にやりたいことをしていると思う。そういうやりたいことができるように、今こうやって一生懸命になれる物があるうちは、それに一生懸命になることが次につながる。人生においても次につながることだと思うので、謳歌(おうか)したいです」

--フィギュア以外で好きなことは

「好きなことはおしゃべりすることと、YouTubeを見ることです。『東海オンエア』っていうグループが大好きで、前は友だちと、そのYouTuberが撮影していた場所に行きました。公園だったり…。そこに住んでいる方からしたら、ただの地元の公園なんですけれど、そういう公園に遊びに行ったりして、ちょっとテンション上がりましたね(笑い)」

--12月は大舞台の全日本選手権を控える

「やっぱり(フリーで)最終グループに行くことが目標なんですけれど、そのためにはやっぱりミスのない演技が必要になってきます。また今後国際大会に派遣されるような、選んでいただけるような成績を全日本で残すことが目標です」