真夏の那覇の道場に、東京五輪金メダリストの汗と気合がほとばしる。空手男子形の喜友名諒(32=劉衛流龍鳳会)は、「五輪後も毎日稽古している。だからこの1年はあっという間」。以前と変わらず研さんを積む。

あらゆる競技の中で最も金メダルに近い存在と評され、圧倒的な演武で頂点に立った。最強のアスリートは1年前の祭典について「すべてを鮮明に覚えている」。試合内容や会場の様子、選手村での風景など、どの記憶も鮮やかなままだ。

優勝が決まった直後、コートの中央に正座して一礼した姿も話題となった。「決勝が始まる直前、ああいう形で思いを伝えることがよぎった。ともに戦ってくれた人たちへの感謝の思いを込めて、優勝を報告した」と明かす。

東京五輪後も無双状態は続く。昨年11月の世界選手権で前人未到の4連覇を果たし、約1カ月後の日本選手権では10連覇を達成。「自分の技を磨くことは一生できること。空手の奥深さを研究し、追求していきたい」。その思いがぶれることはない。

東京五輪で初めて実施種目に入った空手だが、24年パリ五輪では落選。空手界一丸となって、28年ロサンゼルス五輪での再採用を目指す。現役選手ながら全日本連盟の理事も務める喜友名は、「子どもたちにとって、五輪という舞台は大きな目標であり希望。五輪競技復活に向けて、自分もできることがあれば動きたい」と力を込める。

ロス五輪で空手競技が復活すれば、38歳で大会を迎える。「そのときまでどうするかといったことは、いまは考えていない。まずは、1つ1つですね」。日々、鍛錬に励む。【奥岡幹浩】

◆喜友名諒(きゆな・りょう) 1990年(平成2)7月12日、沖縄市生まれ。沖縄国際大卒。5歳から空手を始め、中学3年時から劉衛流の佐久本嗣男氏に師事。14年世界選手権の男子形で初優勝を飾って以来、21年大会まで史上最多の4連覇中。日本選手権は21年に前人未到の10連覇を達成した。21年東京五輪金メダル。国際大会のプレミアリーグ優勝回数(19回)はギネス世界記録認定。170センチ、80キロ。