世界96位、西岡良仁(26=ミキハウス)の自身ツアー2度目の優勝はならなかった。

ウィンブルドン準優勝で、同63位のニック・キリオス(27=オーストラリア)に4-6、3-6のストレートで敗れた。しかし、西岡は「(敗れたが)ワンダフルな1週間だった。今年の初めは引退も考えるほどの悪夢だった。ようやく戻って来られた」と、自信を取り戻していた。この準優勝で、29日に開幕する全米(ニューヨーク)に向けて、大きな弾みとなった。次戦は8日に開幕したナショナルバンクオープン(モントリオール)の予定だ。

久しぶりの連戦とタフな試合で、西岡にエネルギーが残っていなかった。何度もしゃがみ込み、足を屈伸した。「体に疲労が残り、相手のプレーが自分を上回っていた」。踏み込みに力が入らず、動きが鈍い。身長170センチと小柄な西岡にとって、動きの鈍さは致命的だった。

惜しかったのは、両セットの第1ゲーム。ともに西岡のサービスゲームで、それを失った。強サーブのキリオス相手に、最初から追いかける展開はきつくなった。せめてサービスキープ合戦に持ち込めれば、相手にもプレッシャーがかかったはずだ。

しかし、久々に、緩急を操る西岡のテニスが戻ってきた。「2勝目を挙げられなかったのは残念な結果」とは言うが、今回の快進撃で、今年1月に123位にまで転落した世界ランキングも、最新で54位にまで戻す。20年2月に自己最高の48位になった直後、新型コロナの感染拡大で2年半の苦悩を味わった。その西岡が、ようやく世界の舞台へ戻ってきた。【吉松忠弘】