フィギュアスケートの世界国別対抗戦は13日、東京体育館で開幕する。前日の公式練習が行われたリンクサイドに、元世界女王の安藤美姫さんの姿があった。声をかけて見つめていたのは、イタリア代表男子のマッテオ・リッツォ。経緯を聞きにいくと、笑顔で教えてくれた。

「もともとマッテオのお父さんが私の選手の時に、最後にコーチをしてくれてて。今回はメインコーチが日本に行けないということで、頼まれました」。

休養、出産をへて復帰を果たした13-14年シーズンに、コーチとして帯同してくれたのが父のバルテル・リッツォ氏。その縁でマッテオの事もジュニア時代から知っている間柄だった。

これまで国内大会でコーチとしてリンクサイドに立ったことはあったが、国際大会では選手引退後は初めてとなる。それも、イタリア代表として迎えることになった。

「全力で選手のサポートをして、安心してリンクの中にいられるようにきちんとやりたいです」。

指導者として現在はフリーな立場で教えている。きっかけは16年、大庭雅に自身も滑った映画「ミッション」での振り付けを懇願されたことだった。そこから、いまはジュニア選手などにも教えるようになった。

シーズンの最終戦になる今大会は、試合ではあるが、仲間の応援もあり、華々しい雰囲気が独特だ。選手として09年の第1回に参加もしていた。

「真剣なところは真剣に。リラックスできるところはリラックスさせてあげたいですね」。

指導者としての“国際大会デビュー”に向けて、優しくほほ笑んだ。【阿部健吾】

◆世界国別対抗戦 8度目の開催となる国際スケート連盟(ISU)公認大会。世界6カ国が男女シングル各2人、ペア1組、アイスダンス1組の4種目8人で争う。各種目優勝は12点、2位は11点…と与えられ、合計点で優勝国を決める。日本の他に米国、カナダ、韓国、イタリア、フランスが参加。SP、フリー(アイスダンスはリズムダンス、フリーダンス)ごとに区切り、総合得点での順位は得点としない。各出場者(組)の総合得点はISU公認記録となる。