<全国高校バスケット選抜優勝大会:明成71-69福岡大大濠>◇最終日◇29日◇男子決勝◇東京体育館

 明成(総体2位=宮城)が劇的な2連覇を達成した。第2クオーター(Q)終了時に9点リードを許したが、第3Qに最大12点差をつけられる窮地から反撃。第4Q残り1分24秒で69-69と追いつき、残り34秒3でC八村塁(2年)が逆転のシュートを沈めた。昨年と同カードで、夏の全国総体決勝で敗れた福岡大大濠に71-69と雪辱。出場選手すべて2年生で3度目の日本一に輝いた。

 八村が終了ブザー寸前、ボールを屋根に向かって大きく投げ出した。第4Q土壇場に逆転して2点差の2連覇。コートに5人の輪ができ、抱き合った。8月7日の全国総体決勝に敗れ、佐藤久夫監督(65)が「悔し涙をうれし涙に変える」と選手に伝えてから約5カ月。計5試合に出場したのは7人の2年生だけ。3年生主体のチームを次々と破り、明成が高校バスケットの常識を覆した。

 新チーム結成後、八村を最初にしてキャプテンを代えた。現主将のSG納見悠仁が5人目。佐藤監督は「全体を見る目が出るんじゃないかと思い」と狙いを説明した。主力は技術のある2年生。「強くなってもらいたいから、3年生以上の心の要求をした。高校4年生ぐらいの人間力を身につけてほしいから」とも言った。八村の次に主将を経験したPG増子優騎は「キャプテンとしてチームをまとめることで、1人に頼らなくなった」と、求められた精神的成長を明かした。

 福岡大大濠のインサイドの堅い守備に外角のシュートで対抗しても、第2Qからリングに嫌われた。第3Q中盤まで劣勢だった。それでも集中力は切れなかった。納見主将は「最後はみんなが1つになった。2年生だけで絶対優勝する気持ちが出た」と胸を張った。SF三上侑希が厳しい当たりに苦しんでも、PF足立翔が10得点した。1人の不調は他の選手がカバーした。2桁得点を4人がマーク。主将交代は総合力の高さも生んでいた。

 99、00年に仙台高を率いて2連覇し、通算5度目の日本一となった佐藤監督は「ミラクルです。2年生の集団で。バスケの歴史でも初めてじゃないか」と選手をたたえた。4強以上で1試合平均87・2点は最多、同平均失点61・6は最少。2年生が3年生になる来年も強さは変わらない。明成が黄金時代に突入した。【久野朗】

 ◆私立明成高等学校

 1879年(明12)、松操私塾として創設。私立裁縫松操学校、朴沢松操女学校を経て1948年、学制改革により朴沢女子高等学校を設置。92年から現校名に改称し、05年から共学。男子バスケットボール部は05年創部。所在地は仙台市青葉区川平2の26の1。佐々木稲生校長。