<全国高校バスケット選抜優勝大会:明成71-69福岡大大濠>◇最終日◇29日◇男子決勝◇東京体育館

 明成(総体2位=宮城)が劇的な2連覇を達成した。第2クオーター(Q)終了時に9点リードを許したが、第3Qに最大12点差をつけられる窮地から反撃。第4Q残り1分24秒で69-69と追いつき、残り34秒3でC八村塁(2年)が逆転のシュートを沈めた。

 SF三上侑希(2年)の涙が、劇的な幕切れを呼んだ。67-69の第4Q残り1分24秒。準決勝まで全選手トップの成功数を誇った3点シュートを7本連続で失敗していた男が、意地の同点シュートを沈めた。直前のタイムアウトで「入ったと思っても決まらない。何もできない責任を感じた」と涙。思いをくんだ仲間から「泣くな、大丈夫だ。シュートを打て」と背中を押された直後の一撃だった。佐藤監督も「普通は試合中に泣いたらダメだけど、泣きながら決めたんだから大したもの」と驚きを隠せなかった。

 今大会直前に関東の大学生と実戦を重ねた経験も大きかった。昨年は1試合程度だったが、2年生だけで挑む今年は4試合に増やしていた。三上は「大学生相手にやってきたんだから、同じ高校生には負けられなかった。明成に入ってよかった」。16点をマークしたが、成功率は25%。自信を失いかけながら、仲間と勝ち取った連覇に、最後は笑顔が戻った。【鹿野雄太】