38歳のラグビーワールドカップ(W杯)日本代表ロック、トンプソン・ルーク(近鉄)が今季を現役最終年に位置づけた。

16日、ロシアとの開幕戦(20日、東京・味スタ)に向けて都内で練習後、大会の公式記者会見に出席。「最後のラグビーシーズン」と明言した。アジア初開催のW杯では日本代表の最年長出場、最多試合出場記録更新が懸かる。4大会連続の舞台で自称「おじいちゃん」が集大成を見せる。

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自らの決断を表明するトンプソンは、さっぱりとした表情だった。W杯仕様の同時通訳で行われた都内ホテルでの記者会見。その席でマイクを握ると、関西弁で「これで絶対に最後。ほんまに楽しみです」と笑った。4日後に迫ったW杯への決意をにじませ、さらに続けた。「(4年)前よりも僕はおじいちゃん。これは最後のシーズンだから、ちょっと特別。日本に住んで16年。僕の体は今は大丈夫だけれど、ちょっと疲れた」。

W杯後には所属の近鉄で、トップリーグ2部相当のトップチャレンジリーグ(11月15日開幕)に出場する方向。38歳は常々「代表と近鉄のジャージーは特別」と繰り返してきた。その両方を脱ぐ覚悟が決まった。

ニュージーランドから04年に来日し、07年フランス大会で初めてW杯の空気を味わった。以来4大会連続選出は元木由記雄、松田努と並び最多。今大会に出場すれば、15年イングランド大会に37歳でピッチに立ったロック大野均の最年長記録を更新する。現時点でのW杯通算出場10試合は、小野沢宏時の12試合に次ぐ2位。複数の新記録樹立が目前でも「チームの目標に向けて頑張りたい」と姿勢はぶれない。

引退後は母国での牧場経営を夢見る。サマーヒルという地名にちなみ「ナツヤマ(夏山)ファームは?」と提案するほど、深い日本への愛。「今からはW杯だけにフォーカスしたい。ラストチャンスは、いい結果がほしい」。求めるゴールは初の8強以外にない。【松本航】