<水泳世界選手権>◇第11日◇30日◇バルセロナ◇男子200メートル自由形

 コースケ惜しい!

 メダル逃した。男子200メートル自由形の萩野公介(18=東洋大)は1分45秒94で5位。世界選手権、五輪を通じて同種目日本人初のメダル獲得はならなかった。53年ぶりとなった400メートル自由形の銀に続く表彰台こそ逃したが、勢いは変わらず。個人6種目で最も世界に遠いとみられていた難関を5位で乗り切って、残り種目での進撃に続けた。

 さすがの萩野も届かなかった。150メートルの折り返しは7位。大きなストロークで上位に迫ったが、メダル争いに絡むのがやっと。3位イゾトフ(ロシア)に0・35秒差。あと1歩と迫ったメダルを逃した。レース後は1時間後の200メートル背泳ぎのためにサブプールへ直行。力を出し切った満足感からか、悔しそうな表情はみせなかった。

 世界大会で日本人初のメダルこそ逃したが、勢いは止まらない。この日は200メートル自由形と100メートル背泳ぎの決勝2レース。29日には両種目の予選、準決勝と1日4レースをこなした。タフな日程も「泳ぎの確認をしながら泳げた」と、余裕で話していた。

 7歳から1日1万メートル。小学生時代から人並み外れる練習量を積んできた。8歳から指導してきた御幸ケ原SSの前田覚コーチ(42)は「生まれ持っての心肺機能の高さとしか言いようがない。どんなきつい練習をしてもバテない。ちょっとおかしいと思うくらい異常でした」と振り返る。生まれ持った肉体の強さと地道な練習の積み重ねが、水の怪物の下地にはある。

 今回日本は2人の医師と5人のトレーナーを帯同。トレーナーは筋力強化、ケアなど担当に分かれ、情報は共有する。選手には普段からケガ防止、疲労回復の大切さを強調。萩野も空港で、レース前の招集所で、暇さえあれば、ストレッチをする。8日間最大20レース。ケアへの意識の高さも、18歳の躍進を支える。

 得意の個人メドレー、背泳ぎに比べ、強豪がそろう自由形は世界に遠いとみられていた。それでも、ソープ(オーストラリア)フェルプス(米国)ロクテ(米国)ら怪物が活躍した200メートルで、400メートル自由形に続いてメダルを射程圏に入れた。日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(50)は「こっちも見ていてワクワクしてきた。大会が終わったら、相当な選手になる」と、今後のメダルラッシュに期待を込めていた。【田口潤】