<東京6大学野球:立大5-2早大>◇第4週初日◇2日◇神宮

 立大のドラフト候補右腕、戸村健次投手(4年=立教新座)が9回150球を投げ抜き、5-2で早大を破った。最速148キロで6安打に抑え、対早大8季ぶりの勝利を挙げた。

 戸村はベンチ裏でレモンをかじっていた。7回無死満塁のピンチを、6球連続の直球勝負で右飛、遊ゴロ併殺打で切り抜けた。「6回が終わってベンチに帰ったら、日に当たり過ぎて、日射病みたいになったんですよ」と笑う。頭に氷を当て、ビタミンを補給しながら150球を投げ抜いた。

 185センチ、78キロのスラリとした長身。長い手足を生かした、角度ある直球が一番の魅力だ。この日は最速148キロに、スライダーが切れた。「ボール自体はすごく良くて、いける気がした」と、早大から8季ぶりの勝利を挙げた。

 立教新座(前立教)-立大を経て直接プロ入りすれば、88年長嶋一茂(ヤクルト)89年矢作公一(日本ハム)と続いて以来21年ぶりになる。高校時代も速球派で「埼玉のクルーン」と恐れられた。メッツ大慈弥スカウトは「今日のピッチングだったら、(1位指名)12人に入ってくる可能性がある」と高評価した。立大野球部創部100周年を彩る、待望のドラフト候補だ。

 「イチロー流トレ」が戸村を変えた。昨夏、イチローも通った鳥取県のワールドウイングで、投球動作などをチェックした。今季開幕前にも行った。昨春まで通算1勝だったが、飛躍的成長につなげた。まだリーグ通算5勝と、将来性への期待は大きい。「もう5位は嫌だ。Aクラスを狙う」と誓った。【前田祐輔】