プロ6年目で昨季まで通算9勝のヤクルト山野太一投手(27)が今季、覚醒した要因のひとつとして、“魔球”の精度が上がったと分析する。4回、無死一塁で巨人の4番ダルベックを2ボールからのバッティングカウントで遊ゴロ併殺打に仕留めた。

外角寄り147キロのワンシーム(ボールの縫い目に指1本かけて投げる速球)で、ほんのわずかボール1個分ほど外へ動く速球だった。ダルベックからすれば、直球が来たと思って振ったと思うが、少し芯を外された。

山野のワンシームは、右打者の内角は少し内へスライドし、外角は外へシュートする。6回にはダルベックからフォーシームの速球でボールを動かさず、見逃し三振を奪った。速球2種類のコンビネーションがすごく絶妙だった。

ワンシームはツーシームより回転数が減るため、ボールが動く幅が大きくなるというが、縫い目に指を1本しかかけないので、制球するのは難しい。それを今季、うまく操っている。精度を上げるための努力、工夫をしたのだと思う。速球に加え、スライダー、カーブ、カットボール、フォーク、チェンジアップと球種が豊富で、三振を奪っていくというよりも、少しだけバットの芯を外す投球が光る。

また、すべての球種で腕の振りがいいので、どの球種も見極めが難しい。すごくアマチュアの投手も参考になる。池山監督から「ストライクゾーンで勝負していけ」というアドバイスを受けたようで、その指示もバックアップしたように思う。

これで他球団も相当、研究してくるはずだ。ワンシームをクローズアップすれば、打者がベルト付近へ目線を上げて、低めのボールを見極められるようになった時に、どう対応していくのか。今後、山野がタイトル争いをしていくためには、そこがポイントになると思う。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ヤクルト 勝利し山野太一(左)の肩をたたくヤクルト池山隆寛監督(撮影・増田悦実)
巨人対ヤクルト 勝利し山野太一(左)の肩をたたくヤクルト池山隆寛監督(撮影・増田悦実)