オリックス田嶋大樹投手(29)は開幕から1カ月1、2軍を行き来した。ファーム調整の葛藤を、レストランのお客さん(=ファン)、自身を厨房(ちゅうぼう)のコックに例えた。
開幕3戦目の3月29日楽天戦で先発を託され、1回2失点。その後はファーム調整に入ったが、読書家で物静かな左腕はファーム調整の意味を丁寧に説明した。
「いきなりお客さんにお金を払ってもらって、試作品を食べてもらうのは、無理ですよね。お金を出してもらう中で、パフォーマンスをするから、変なものは出せない」。ファームにいることは「まずはキッチンにいる仲間に食べてもらおうか」。結果を出すためのトライアンドエラーの場に例えた。「『このスパイス、この食べ物、いいかな』から、『この味だったらいける』になれば、1軍の監督やコーチから見て、『その料理いいね、商品化してみようか』となるんです」。田嶋らしい表現に、自然とうなずけた。
今年8月に30歳を迎える左腕は、目標を逆算する。「あと10年やりたいんですよ。40歳までやりたくて」。昨オフから見つめ直したウエートトレや可動域アップを突き詰めた。キッチンでの葛藤をへて、ようやくファンに勝利を味わってもらえた。【中島麗】



