DeNA高田繁GM(71)が、現役時代に「分かっていても打てない投手」がいたという。

 巨人のV9時代の1人で、走攻守そろった伝説的選手。だということは、野球担当2カ月の自分でも知っていた。そんな同GMが手を焼いた投手の1人が、元大洋(現DeNA)平松政次氏。球団事務所の記者室で雑談していると、身をもって知る「カミソリシュート」と言われるシュートボールのすごみを語り出した。

 「平松のシュートは分かっていても打てなかったな。普通の投手のシュートっていうのはボール球からストライクに入る。けど平松のはストライクの球が(内側)に入ってくるんだよ」。

 右打者には特に効力を発揮したと言われ、あの長嶋茂雄氏もベンチで「あれは打てませんね~」と嘆いていたという。ある選手は、あまりにも切れ味のある回転にバットをへし折られてしまうから、練習用のバットを手にし「どうせ打てないしバットを折られたらもったいない」と打席に立つこともあったそうだ。

 同GMはさらに2人挙げる。「村田(兆治)のフォークも打てなかったな。あとは江夏(豊)のカーブ。それと平松のシュート。この3つは分かっていても打てなかった」。

 レジェンドが語るレジェンド。その時代を知らないから一層、シンプルな武勇伝よりも強いインパクトを感じる逸話だった。【DeNA担当=栗田成芳】