第89回センバツ高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の「21世紀枠」の候補9校が発表された。この9校の中から1月27日の選考委員会で3校が選出される。※成績は秋季大会、()内※は甲子園出場経験あり
北海道
富良野(道立)道8強
部員は全員が富良野地区出身の伝統校。秋季大会直前に台風による甚大な被害を受けながら8強入り。11中旬から4月上旬まで降雪期間でグラウンドが使えず、学校の廊下や教室を利用して練習している。春夏甲子園出場なし。1926年(大15)に創立した高等女学校が前身。50年(昭25)の統合により共学化。生徒数461人(女子274人)。全国大会出場経験のあるラグビー部や書道部など、部活動も盛ん。OBにカーリング女子の元日本代表、目黒萌絵。週1度「表現」の授業があり、脚本家の倉本聡氏が主催する演劇創作集団「富良野GROUP」の俳優らが指導することも
- 候補に決まった16日の最低気温は氷点下20度以下。寒さに負けない富良野ナイン
東北
不来方(こずかた=岩手、県立)県準優勝、東北大会初戦敗退
1988年(昭63)に開校。紫波郡矢巾(やはば)町にある県立校。今秋は部員わずか10人(女子マネ3人)で県大会準優勝。東北大会では初戦で八戸学院光星(青森)と対戦し0-2で敗れた。春夏甲子園出場なし。生徒数は827人(女子455人)。県内で最も新しい公立校で人文、理数、芸術、外国語、体育の5学系に分かれる。主なOBはボートレース菊地孝平
- 9月、秋季岩手県大会の準決勝でベンチ入り20人の花巻農を破り、初の東北大会出場を決めた部員10人の不来方ナイン
関東
石橋(栃木=県立)県準優勝、関東大会初戦敗退
下野市内で唯一の高校。16年度は129人が国公立大学に進学する県内有数の進学校。土曜講座や課外授業などで、練習時間の制約が多い中、文武両道による活動で好成績を収めた。また野球障害の早期発見に関する機会を設けている。春夏甲子園出場なし
- 部員19人の石橋ナインは夕焼けを背にガッツポーズ(撮影・浅見桂子)
北信越
富山東(富山=県立)県準優勝、北信越大会8強
1962年創立。毎年、多くの野球部員が国公立大学に合格する進学校。グラウンドは他部と共用のため、平日は内野部分しか使えないが、練習を工夫し近年安定した成績。春夏甲子園出場なし
東海
多治見(岐阜=県立)県優勝、東海大会初戦敗退
1923年(大12)多治見高等女学校として創立。今秋岐阜大会で初優勝。小学生を対象にふれあい野球教室を行っている。県大会に市民の応援団が駆けつけるなど地域から愛されている。春夏甲子園出場なし
近畿
洛星(京都=私立)府8強
今秋は部員わずか10人で8強入り。「全員全ポジション野球」を掲げ、全部員が投手、捕手、内外野を守ることができる。1955年(昭30)創立の私立校。カトリック系の中高一貫の男子校で、生徒数は650人。府内屈指の進学校として知られ、東大、京大などに多数合格。例年、京大には50人以上の合格者を送る。三井住友フィナンシャルグループの奥正之取締役会長や作家の天木直人氏らを輩出。野球部は68年創部で、甲子園出場経験はないが、秋季近畿大会府予選で82年3位、87年準優勝の好成績を残している。野球部OBには11年春の関西学生野球首位打者の京大・新実彰平氏や、15年春に東大の連敗を94で止めた柴田叡宙(あきひろ)氏らがいる。部活動は午後5時半までに終え、同6時までに完全下校。その後は学習時間にあてる
- 21世紀枠9校の中に選ばれ甲子園出場に期待を寄せる洛星ナイン(撮影・上田博志)
中国
倉吉東(※鳥取=県立)県4強
1909年(明42)旧制倉吉中として創立。野球部は1913年の伝統校。10月に発生した地震の際に復興支援のためすぐさま部全体として動いた。今なおボランティアを継続中。甲子園は春2、夏1の計3度出場
四国
中村(※高知=県立)県優勝、四国大会初戦敗退
77年の第49回大会に甲子園初出場。部員12人ながらエース山沖投手を中心に準優勝を果たし「二十四の瞳」で注目を浴びた。今秋県大会決勝で明徳義塾に完封勝利し優勝と実力も十分
- 77年センバツ。部員12人で準優勝した中村。左から2人目がエース山沖
九州
高千穂(宮崎=県立) 県準優勝、九州大会初戦敗退
1917年(大6)西臼杵郡立農学校として創立。天孫降臨など神話の里として知られる九州山地の中央部に位置。過疎化などの問題が深刻な地域を活性化させようという意欲が部内で非常に高い。地域への貢献活動も盛ん。来年創立100周年。春夏甲子園出場なし
都府県推薦校
青森 弘前東(私立) 県3位→東北大会初戦敗退
岩手 不来方(こずかた=県立) 準優勝→東北大会初戦敗退
秋田 横手(県立※) 優勝→東北大会8強
山形 山形南(県立※) ベスト8
宮城 佐沼(県立) ベスト16
福島 小高工(県立) ベスト8
茨城 常磐大高(私立) ベスト4
栃木 石橋(県立) 準優勝→関東大会初戦敗退
群馬 前橋西(県立) ベスト8
埼玉 川越工(県立※) ベスト16
山梨 韮崎工(県立) ベスト8
千葉 中央学院(私立) 準優勝→関東大会8強
東京 日野(都立) ベスト4
神奈川 横浜創学館(私立) ベスト8
長野 小諸商(県立) 県3位→北信越大会8強(LINE発端の暴力行為で推薦辞退)
新潟 村上桜ケ丘(県立)準優勝→北信越大会初戦敗退
富山 富山東(県立) 準優勝→北信越大会8強
石川 飯田(県立) ベスト16
福井 羽水(県立) ベスト4
静岡 韮山(県立※) ベスト16
愛知 桜丘(私立) 準優勝→東海大会初戦敗退
岐阜 多治見(県立) 優勝→東海大会初戦敗退
三重 四日市(県立※) ベスト16
滋賀 彦根翔陽・彦根翔西館(県立) ベスト4
京都 洛星(私立) ベスト8
奈良 高取国際(県立) ベスト4
和歌山 日高(県立※) ベスト8
大阪 今宮(府立※) ベスト8
兵庫 三田松聖(私立) ベスト16
岡山 玉島商(県立※) 準優勝→中国大会初戦敗退
鳥取 倉吉東(県立※) ベスト4
広島 尾道商(県立※) 準優勝→中国大会初戦敗退
島根 大田(県立※) ベスト4
山口 熊毛南(県立) 準優勝→中国大会初戦敗退
香川 土庄(県立) ベスト8
愛媛 今治北大三島分校(県立) ベスト16
徳島 生光学園(私立) 優勝→四国大会初戦敗退
高知 中村(県立※) 優勝→四国大会初戦敗退
福岡 小倉工(県立※) ベスト4
佐賀 白石(県立) ベスト8
長崎 長崎東(県立※) 準優勝→九州大会初戦敗退
熊本 球磨工(県立) ベスト8
大分 大分西(私立) ベスト4→九州大会初戦敗退
宮崎 高千穂(県立) 準優勝→九州大会初戦敗退
鹿児島 武岡台(県立) ベスト4
沖縄 宮古総合実(県立) ベスト8
21世紀枠・過去の出場校
年 | 出場校 |
---|---|
01 | 安積(福島)※宜野座(沖縄) |
02 | ※鵡川(北海道)松江北(島根) |
03 | 柏崎(新潟)隠岐(島根) |
04 | 一関一(岩手)八幡浜(愛媛) |
05 | ※一迫商(宮城)高松(香川) |
06 | 真岡工(栃木)金沢桜丘(石川) |
07 | 都留(山梨)※都城泉ケ丘(宮崎) |
08 | ※安房(千葉)※成章(愛知)※華陵(山口) |
09 | ※利府(宮城)彦根東(滋賀)大分上野丘(大分) |
10 | 山形中央(山形)※向陽(和歌山)川島(徳島) |
11 | 大館鳳鳴(秋田)佐渡(新潟)※城南(徳島) |
12 | 女満別(北海道)石巻工(宮城)洲本(兵庫) |
13 | ※遠軽(北海道)いわき海星(福島)益田翔陽(島根)土佐(高知) |
14 | 小山台(東京)海南(和歌山)大島(鹿児島) |
15 | 豊橋工(愛知)桐蔭(和歌山)※松山東(愛媛) |
16 | ※釜石(岩手)長田(兵庫)小豆島(香川) |
※は1勝以上挙げた学校、最高成績は宜野座と利府の4強