ようやく出発地点に立った。楽天武藤好貴投手(28)がイースタン・リーグDeNA戦(利府)の6回から2番手で登板。今季初実戦で1回無安打無失点と完璧な投球を見せた。

 昨年10月に痛みのあった右肘をクリーニング手術。その不安より、戦いの場に戻る緊張が上回った。「いつもブルペンでは12球くらいなんですが、今日は30球も投げてしまいました」と肩は十分すぎるほど温めた。3球で2死とすると、最後はカウント1-2から井出を低めいっぱいのカットボールで見逃し三振。わずか7球で復活を印象づけた。

 昨季は自己最多の60試合に登板。勝ち負けに関係なくマウンドへ向かい、ブルペンを支え続けた。昨年の手術後は、若手とともにポール間走やゴロ捕球の強化練習をこなし、この日の初登板となった。最速は144キロを計測。「球に威力があったし、肘が痛くない。手応えを感じてます」と笑みをこぼした。

 うれしいニュースがある。地元でもあり古巣のJR北海道の北海道新幹線が開通。東北との距離がグッと近づいた。休日があれば妻と函館に行きたいと元駅員魂をのぞかせた。今後は状態を見ながら、早期の1軍昇格を目指す。「新幹線と同じで事故がないように安全第一で行きたい」。運行開始が遅れても、間に合わせるだけの時間はたっぷりある。【島根純】