中日ダヤン・ビシエド外野手(27)が今度は「本人もびっくり弾」で驚かせた。0-5の7回2死から石川の変化球をすくい上げた。開幕カードの3試合連発以来5試合ぶり、単独トップとなる4号ソロ。こすった当たりは本人も入ると思わず悔しがるそぶりを見せながらフェンスを越えた。投手陣がまた大量失点した試合で、驚異の重戦車が神宮のファンを喜ばせた。

 ビシエドは飛球を見ることもなく、バットを下に投げ捨て、下を向いた。その動作だけを追っていたら誰も着弾点を予想できない。一瞬静まりかえった場内のボリュームが次第に高まっていく。左翼席最前列に飛球が吸い込まれると、悲鳴と歓声が交錯。すぐに、どよめきに変わった。

 ビシエド 前で捉えたけど、ちゃんと当たらなかった。高く上がったから入らないと思ったんだ。それで下を向いてしまった。飛んでくれてよかったよ。

 左腕石川の得意のシンカーを思い切りすくい上げた。1球前のシンカーは外への絶妙なコースで、途中であきらめるように空振りした。続けて、今度はやや中寄りに来た同じ変化球を打ちにいった。ビシエドは「いい感じだよ。低めはとにかくよくボールを見るようにしている」と解説した。

 2回に左翼フェンス直撃のライナーを放った。打球が速すぎて単打になったが、開幕から全8試合安打とした。開幕カード阪神戦では3試合アーチを描き、新助っ人による開幕3試合連発の新記録を作った。本塁打自体はそれ以来の5試合ぶりだが、猛威は相変わらず。打率5割1分7厘でトップを突っ走る。

 開幕前に第3子の二男ブライアン君が誕生したが、体調が思わしくなく、再来日が遅れた。病状が持ち直して戻ってきてからも、アナイ・モリーナ夫人(27)とのインターネット電話は欠かさない。愛妻はキューバ出身野球選手の情報が集まるサイトをチェック。日本で大活躍する様子がサイトで話題になっていると報告してくれる。家族写真も手放さず、ファミリーの支えを胸に異国で奮闘する。

 チームは投打の歯車がかみ合わず、連日の完敗を喫した。「シーズンは長い。明日勝つしかないよ。いい当たりが正面を突いたりしていて、みんな調子は悪くない」。どんな状況でも打ち続けるスーパーマンに、負けは似合わない。【柏原誠】