来年3月の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)について球界有識者で話し合う「WBC体制検討会議」が15日に都内で行われ、日本代表監督は現役プロ野球監督以外から選ぶのが望ましいとの意見が大勢を占めた。王貞治コミッショナー特別顧問(68)の以前からの持論に他のメンバーも同調した。この日は最終結論は出ず、今月末に予定されている第2回の会議で決定する見通し。現役監督以外という方向性が強まったことで、あらためて北京五輪日本代表監督の星野仙一氏(61)が最有力となった。

 方向性を決めたのは、白熱した議論ではなく言葉なき同意だった。出席者の話を総合すると「現役監督は難しい」という王氏の意見に続いたのは「沈黙」だった。現役のプロ野球監督が公式戦開幕直前の3月にチームを離れて日本代表を率いるのは不都合が多い、というのが「自然と」意見の大勢となっていた。

 ヤクルト高田監督

 王さんも含めて現役は難しいという話だった。今ユニホームを着ていない人が理想でしょう。

 野村謙二郎氏

 (開幕前に)チームを離れるのはマイナスになる。王さんもきつかったとおっしゃってました。個人的には王さんと同じ意見です。

 会議を終えた出席者は、次々に「現役監督以外」を推す考えを口にした。「現役の監督を含めて幅広く」とこの日も話した王氏だが、もともとは「現役監督以外から選ぶべき」というのが持論。加藤コミッショナーも「私も現役監督を排除しているわけではない。ただそれが現実的かどうかは議論があるところでしょう」とこの会議以前から話していた。注目された楽天野村監督は「王に聞けばいいじゃないか。そりゃ王がやるのが一番いいと言っといたよ」と「出る幕なし」とばかりに言い残して足早に会場から消えた。反対意見は皆無だったようだ。

 会議は北京五輪の「反省会」にもなった。王氏は「星野監督も五輪でしんどかったと思う。自分の思い通りにならなかった部分も言ってましたし、それは正直な気持ちだと思う」と会見で話した。それを踏まえ、会議では12球団の監督に理想のWBCメンバー28人を選んでもらい参考資料として監督に差し出すことを決定。即日コミッショナー事務局が12球団にアンケートを送付した。「情報交換をもっと密にした方がいい」という会議の意見を反映し、なおかつ監督の把握しないところで故障が続出した星野ジャパンの教訓を折り込んだアイデアだった。

 現役監督でなく、選手の現状をよく知っている人物となれば、北京五輪で日本代表を率いた星野氏が自然と中心となってくるのは間違いない。王氏は「監督を一番早く決めないと。次回(の会議)にはご報告できると思います」と今月中の決着を示唆した。【大塚仁】