史上初の女性プロ野球選手、神戸9クルーズの吉田えり投手(17=川崎北高2年)がリーゼントになる。横浜スタジアムで18日、横浜三浦大輔投手(35)の自主トレに合流し、3月15日の同球場でのオープン戦始球式に、三浦直伝のリーゼント姿でマウンドに上がる意向を明かした。練習前に始球式の話をもらい、階段ダッシュなど3時間半のメニューをこなした後に三浦にリーゼントのセットの仕方をおねだり。快諾した三浦の誠意に応え、リーゼント登板を決めた。

 高校2年の女子プロに、ビッグなバースデー・プレゼントが待っていた。3月15日、横浜スタジアムでのオープン戦「横浜―オリックス戦」の始球式マウンド。前日17日に17歳となったばかりの吉田は、地元・横浜での大役に「うれしいです。てへへ…」と、はにかんだ。

 あこがれの横浜スタジアムのマウンド。夢のプロ入りを果たした決め球、ナックルこそ「投げようかどうか迷ってます」と話したが、合同自主トレを行ったハマの番長のトレードマーク「リーゼント」に頭髪を固めてのマウンドには「はい。いいですね」と即決した。

 もともとは、三浦からリーゼントのセット方法を教えてもらうことが、吉田への誕生日プレゼントだった。午前から約3時間半、三浦とほぼ同じメニューをこなした吉田は、何が欲しいかと聞かれ「リーゼント」と答えた。

 これには、百戦錬磨のハマの番長も、さすがに一瞬、沈黙。すぐに気を取り直した三浦が「リーゼントのやり方ぐらい、なんぼでも教えるよ。でも…女子でリーゼント?

 ほんとにやるの?」と、戸惑いながらも、吉田の依頼を快諾。女子高生にしては短髪の吉田を見やり「これ(髪量)なら大丈夫」と太鼓判を押すと、吉田がリーゼント始球式を約束した。

 父と娘ほどの年齢差、吉田から見れば三浦は、プロの大先輩で雲の上の存在。とはいえ、立場は同じプロ野球選手。吉田は、もらいっぱなしでもいられず、実は、三浦へのお返しを用意していた。それが魔球ナックルの握りだった。

 この日の練習で、吉田は腰を入れた右下手からの投球も加え、約15分、本格的なキャッチボールを三浦と行ったが、1球もナックルを投げなかった。今月10日、楽天田中将大投手(20)とイベント共演し、キャッチボールした際には「遊び心で」ナックルを投げたが、この日は「教えると、投げられちゃう(マスター)んじゃないかと思って」と封印。しかし、練習後に「握りだけ教える」つもりだったといい、三浦のもとへと向かった。

 ナックルばりに、プロ124勝のエースを翻弄(ほんろう)した吉田。3月の始球式では三浦の代名詞でバッチリ決める。【村上久美子】

 [2009年1月19日8時51分

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