<西武5-15横浜>◇22日◇西武ドーム

 横浜がオバQで“化けラッタ”?

 田代富雄監督代行(54)が指揮を執る横浜が、今季セ・リーグ最多となる19安打15得点で昨季日本一西武に圧勝した。大技だけじゃない、西武の先発涌井をスクイズバントをからめた小技で崩してKO。救援陣は細かい継投を完成させてエース三浦大輔投手(35)は5勝目を挙げた。交流戦は2勝1敗だ。

 「化けラッタ」打線は大技ばかりではない。同点にされた直後の4回表。1死二、三塁で細山田のカウントは1-0。田代監督代行のサインはスクイズだ。ルーキーが体の前にきた変化球にもひるまずに食らい付く。投前に転がると、涌井の悪送球も誘い二塁走者まで一気に本塁にかえった。小技で火のついた打線は今季最多の19安打15得点で田代体制初の連勝となった。

 田代監督代行

 はまったねえ。はまったときは気持ちいいね。細山田も「何とか」という気持ちで決めてくれた。ドキドキするね。2軍でもドキドキするから。今日は汗1リットルはかかなかったけどね。

 笑みを浮かべながら自然体で振り返った。昨季日本一チーム相手に最後まで攻撃の手を緩めなかった。4回のスクイズ後は二塁走者の石川に三盗を指示。6回にはエンドランとタクトを振り続ける。最終回にも5点を奪う猛攻。「絶対に野球は気を抜いたらダメ。どんな大差でも最後まで。1球、1打席で打撃なんか崩れるからね」と、指揮官は真剣な表情を見せた。

 細かい指示はしない。球界を代表する好投手の涌井対策も「担当コーチとスコアラーがやってくれる。おれは3試合目だけど、いつものようにやるだけ」という。早いカウントから打ちに行く積極さが目立ったことにも「(指示は)してないよ。自分の考えでいってくれている」と選手を立てた。

 チーム全体を見渡せる。初回に2軍から昇格したばかりの下園がプロ初アーチを放つと「あれは根性ある。去年は三振が多かったけど、(左打者だから)今年ずっと三塁線に打たせて球を長く見られるようになった。高木さん(2軍監督代行)と中根(2軍打撃コーチ)のファインプレーじゃないかな」と2軍首脳陣の名前を出した。2軍監督だったからこそ、先発起用の根拠を持ち得ていた。

 下園も田代野球に「イケイケ野球ですね。かなり自信になった」という。細山田は「(スクイズは)頭にありました。1点ほしい場面ですし、気合で何とか」と以心伝心だった。黙って大きく舵(かじ)を切る「オバQ」采配がチームに躍動感を取り戻し始めた。【今井貴久】

 [2009年5月23日10時6分

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