<広島6-5オリックス>◇8日◇尾道
23年目ベテランのメモリアル打で勝利を決めた。広島緒方孝市外野手(40)がオリックス戦(尾道)の8回に代打で出場し、中前に2点適時打をマーク。これがプロ通算1500本安打となった。07年に右ひじを手術した時には、球団に引退を申し入れた。だが、慰留されて現役続行を決意。野手コーチを兼ねて2年目で、区切りの記録に達した。チームはオリックスに連勝し、5月2日以来の貯金1とした。
祝福のセレモニーは温かかった。カープナインが一堂に会した一塁側の食堂。ビールで乾杯したあと、緒方は次々に握手を求められた。「おめでとうございます!」。ナインのねぎらいに頭を下げて応える。内田打撃統括コーチに「あのバット、殿堂入りだから使うなよ」と冗談を飛ばされると笑みがはじけた。苦節23年目で節目の1500本安打を達成した。
緒方
残り3本でスタートしたシーズンで、すごく長くて…。長かったです。今日打てて正直、ホッとしています。感謝の気持ちしかない。家族も待っていただろうし、チームメート、裏方さんにも練習を手伝ってもらってね。ホント、その方たちに感謝ですね。
チームの勝利を呼び込む1打だった。1点リードした直後の8回2死満塁。清水の外角球をすくい、執念で中前に運んだ。今季初タイムリーで2点を追加。9回表に反撃に遭い、2点を失ったが逃げ切りに成功。土壇場で、ベテランのひと振りがモノを言った。
まだ衰えるわけにはいかない。故郷の佐賀では夢を与え続ける存在なのだ。毎年12月には少年野球教室を実施し、野球チームや養護施設などにボール2ダース、金属バット1本をプレゼント。自らのポケットマネーから最大で50チーム分を用意したこともある。恩師の鳥栖高・平野国隆監督(62)は「ありがたい。地元に貢献してくれています」と話す。この日の試合前まで21打数2安打。打率も9分5厘に低迷していたが、意地を見せつけた。
昨秋日南キャンプでは指導にあたる一方で、自らの体を鍛え抜いた。40歳になる12月の誕生日を間近にして若手に混じって苦しい坂ダッシュを繰り返す。1本、2本、3本…。フルメニューをこなし、額には大粒の汗をかいていた。地道に体を鍛え、1球1打席にすべてを賭けた。
緒方
クライマックスシリーズに入れるよう、いいムードで戦っている。いけると思います。まだシーズンの中盤。チームの勝利に貢献できるよう、1本でも多く安打を積み重ねたい。
代打の切り札の力で、5月2日以来の貯金1になった。91年Vの味を知る百戦錬磨のベテランが、上位浮上のガイド役になる。【酒井俊作】
[2009年6月9日10時43分
紙面から]ソーシャルブックマーク



