<阪神8-0ロッテ>◇25日◇甲子園
止まらないのが、新井サンのいいところだ。24時間前、サヨナラ勝ちの歓喜の中であわや暴走の三塁タッチアップを城島はじめナインみんなに突っ込まれた憎めない主砲新井貴浩(33)。汚名はバットで晴らすとばかりに先制打、2点打とタイムリーを連発し、交流戦で初連勝、カード勝ち越しを導いた。常にレッドゾーンの4番打者が引っ張り、トラのエンジンも温まってきたぞ。
勝利に直結した仕事だけを、淡々と喜んだ。「よかった。勝って何よりですよ」。派手さはない。浮かれてもいない。新井がかみしめていたのは4番として勝利を導くという重責。そして、心残りの借りをきれいに返すことだけだった。
1回2死でマートンが会心の二塁打。試合をまず左右する境目で、新井は打った。ロッテ小野の直球を中前にはじき返した。2日前の雨天中止の振り替えで2万7020人とやや寂しかったスタンドが一気にヒートアップ。ベンチも盛り上げた先制打にも、4番は一塁ベース上で表情を崩さなかった。
つい24時間前。チームがサヨナラ勝ちを収めた一方で、新井自身はあわや暴走という三塁タッチアップを犯していた。グラウンド上で打のヒーロー城島から冗談交じりながら厳しい注意を受け、ナインからも次々と突っ込まれた。
一夜明けた25日の練習前も「何で行った(走った)んですかねえ。もう勘弁して下さいよ」とバツが悪そうに頭をかいた。男が黙って汚名をそそぐのは、グラウンドの上しかない。二遊間をしぶとく抜けた打球には、新井の意地がつまっていた。
1本では足りないとばかりに2回にも快音だ。今度は1死一、三塁。マートンが二盗を決めてムードが高まった直後のカットボールを、また中前にはじき返した。2者が生還しリードは6点。止まらない連続適時打は、マウンドの助っ人にささげる男のけじめだった。
「先制して、中押しして。いい形で試合が運べたと思う」
新外国人スタンリッジが前回先発した16日楽天戦(甲子園)。1回先頭の聖沢を、ゴロをさばいた新井が送球ミスで出塁させた。これが発端となり、先制点を献上。流れに乗れないままチームは敗れた。「実は前回、スタンリッジが投げた日に足を引っ張って。だから今回は自分が打つからと言っておいた」。約束を果たし、きずなも深めた3打点。チームはこの交流戦で初の連勝を飾り、4月18日の横浜戦(横浜)から新井が4番に座って打点を挙げた試合は10戦全勝と「不敗神話」まで出来上がった。
右肩痛で代打に回る金本の代役とはいえ、4番の仕事、そしてチームの顔としての役割がどこか様になってきた。
[2010年5月26日11時34分
紙面から]ソーシャルブックマーク



