巨人ドラフト1位の沢村拓一投手(22=中大)が21日、川崎市のジャイアンツ球場で“仮想ブルペン入り”を果たした。新人合同自主トレ中のブルペン入りは首脳陣から止められている。だが第4クール2日目のこの日、余計な負荷がかからない平地ならばと、20メートル限定での立ち投げを許可された。約90メートルの遠投後、早速実行に移した。

 外野の芝の上が「仮想ブルペン」と化した。20メートル先に立つ入野ブルペン捕手に、真剣な表情で向き合った。フォームのバランスを確認しながら、セットポジションで17球。7割の力とはいえ、最速157キロ右腕の片りんは十分。直球はホップしながら、勢いよくミットに吸い込まれた。入野ブルペン捕手は「並大抵の投手じゃない。回転数があってスピンで伸び上がってくる。140キロ中盤は出てるんじゃないか。もっとスピードは出そう」と驚嘆。隣で見つめていた育成4位荻野貴幸内野手(22=愛知工大)は「打席に立ちたくないですね」と苦笑いし、育成1位和田凌太内野手(18=広島工)も「味方で良かった」と笑うしかなかった。

 そんな周囲のざわつきにも「5割ぐらいで投げるつもりだったけど力が入っちゃいました」といたずらっぽく笑うと「久しぶりに力を入れて投げられて良かった」と晴れやかな表情で振り返った。今日22日は新人合同自主トレの最終日。「だんだん仕上がってきている気がします」。焦らず地道に体を作ってきた沢村がベールを脱ぐ瞬間までの、カウントダウンが始まった。【浜本卓也】

 [2011年1月22日8時36分

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