<中日1-1阪神>◇16日◇ナゴヤドーム

 落合竜が執念の全員リレーで今季最長4時間2分の死闘を引き分けに持ち込んだ。先発小笠原孝投手(34)が3回2死で左足を痛め降板するアクシデントにも9投手全員を使い切って阪神打線を1点に封じ込めた。開幕からの先発陣の不調に加えて、不運にも見舞われたがブルペンの底力を見せつけた。

 延長11回裏、2死満塁、カウント2-3。最後は荒木の二ゴロで幕が下りた。今季最長4時間2分の総力戦は引き分け。サヨナラのチャンスを逃した本拠地ナゴヤドームにはため息がこだましたが、落合博満監督(57)は試合後、まんざらでもない笑みで会見場へやってきた。

 「不思議なゲームでしたね。何と言ったらいいのかな、これ。まあ、いいんじゃないですか。負けなかったんだから」

 まだ序盤の3回、先発小笠原を不運なアクシデントが襲った。1死から先発小笠原が俊介を二塁へのハーフライナーに打ち取り、一塁ベースカバーに走った際に左足を痛めた。歩くこともできずにそのまま途中降板してしまった。開幕から4試合は先発が序盤に失点して1勝3敗。吉見、チェンという2枚看板がケガで出遅れた影響がはっきりと出てしまったが、この日の小笠原は3回2死まで打者8人をパーフェクトと最高の投球を見せていた。開幕5戦目で初めて先発が快調に立ち上がった矢先のアクシデントだった。

 だが、このピンチに自慢のブルペン陣が奮起した。3回2死からスクランブル登板を命じられたのは山内壮馬投手(25)だ。開幕ローテーションからは外れたが、いつでも投入できるジョーカーとして待機していた。山内はほとんど準備する時間がなかったにもかかわらず、鋭いスライダーとキレのある直球で5回まで1人の走者も許さなかった。6回に先頭城島の打球が左すねを直撃したが、顔をしかめながら立ち上がって続投。

 「急なことだったけど、落ち着いて自分の仕事ができたと思います」

 1死二塁となってマウンドを降りたが、執念の継投劇の主役となったのはこの4年目右腕だった。

 1点をリードした6回に三瀬が自らの失策で1-1の同点に追いつかれたものの、7回は38歳の河原がしのいだ。8回にはセットアッパー浅尾、9回には守護神岩瀬を投入した。それでも決着がつかず、今季の規定である3時間30分を超えた延長戦では18年目のベテラン平井と左腕小林正、サイド右腕鈴木が2イニングを抑え切った。終わって見れば、野手1人(捕手前田)を残して全選手を使い切る総力戦だった。

 「(特別ルールでの継投は)別に難しくない。これがホームじゃないか。ビジターならああいう使い方はできないよ」

 落合監督はにやりと笑った。先発が不調でもオレ竜には“命綱”がある。それを知らしめる全員リレーだった。【鈴木忠平】