<ヤクルト2-0横浜>◇14日◇横浜
ヤクルトの石川雅規投手(31)が、通算100勝を達成した。変化球を低めに集めて横浜打線を翻弄(ほんろう)し、8回2/3を6安打無失点で抑えた。身長167センチ、体重69キロ。抜群の制球力と負けん気で勝利を積み重ねて10年目。身長160センチ台の投手としては史上2人目の100勝投手となった。
敵地では異例のビクトリーランだった。ヤクルト石川は横浜スタジアムの左翼席に向かって走った。花束を抱えながら、通算100勝を祝うファンの声に深々と頭を下げた。「1人ではできない数字。感謝の気持ちでいっぱいです。嫁さんに、今日決めてこいってケツをたたかれたのが良かったんでしょうかね」。節目の1勝を素直に喜んだ。
真骨頂の投球でつかんだ勝利だった。「登板間隔が空いて、体がリフレッシュできた」と制球は抜群。シンカーが低めに決まり、直球は手元でグンと伸びた。7回1死一、三塁のピンチにはハーパーをシュートで併殺に打ち取り、9回1死一、二塁ではスレッジを外角速球で見逃し三振に仕留めた。どちらも攻撃的な狙いどおりの1球だった。
小さな大投手といわれる。小川監督も初めて会った時は衝撃を受けた1人だ。戸田の寮でのことだった。エレベーターを降りると、中学生のようなあどけない少年が立っていた。「部外者は入っちゃいけないよ」と注意しようとした少年のような男こそ、石川だったという。ただ、その男はとんでもない闘争心を備えていた。「体が小さいから野球ができないなんてことはない。マウンドに上がったら自分がエースだと思っている。大きい人には負けたくない」。100勝できたのは、そんな負けん気の強さがあるからだろう。
100勝のうち、思い出深い1勝を問われると、昨年の1勝目を挙げた。開幕から6連敗。小学1年の長男から「野球を見たくない」と言われたのがこたえていた。そんな中で勝った1勝だった。「かっこいいパパでいたい」。今年はそう誓っている。次の目標は101勝目だ。「感謝の気持ちを忘れずにやりたい」。今は田中のバントが好きという息子が、いつか父親を1番に誇らしく思ってくれる日が必ずくる。【竹内智信】



