<巨人4-3広島>◇3日◇東京ドーム
どうだ、見たか!
巨人亀井義行内野手(29)が同点の8回に決勝の1号ソロを放った。前日2日には2死二塁からの左前打で本塁を刺せなかった守備を酷評された。悔しさで午前3時すぎまで寝付けず、起床後には原辰徳監督(53)の厳しい言葉もメディアを通じて知った。第3打席では犠打失敗。崖っぷちの状況で見せた意地のひと振りが、自らとチームを救った。
亀井の思いが白球に乗り移った。3-3の8回2死。指1本分短く握ったバットが、広島ミコライオの速球を捉えた。左中間へ放たれた打球は、本人が「行ったとは思わなかった」という角度で上がった。だが、なかなか落ちてこない。「気持ちが後押しした」。打球がスタンド最前列に落ちると、劇的な1発に今季最多4万5940人の観客から大歓声が起きた。「カメッ!」。ベンチ前で、拳を突き出す原監督に迎えられた。「見てなかった。覚えていないですね」。それほど、無我夢中だった。
意地があった。完封負けした前日、4回2死二塁で前進守備を取りながら、本塁で刺せなかった守備を酷評された。原監督にも「どういう言葉で形容していいか分からない。見苦しい。一晩中、寝ないで反省してほしい」と厳しい表現で指摘された。大勢の報道陣に囲まれた亀井は「自分の責任です」と、午後11時前に東京ドームを後にした。
帰宅しても、悔しさは増すばかりだった。一夜明ければ、午後2時開始のデーゲーム。早く寝ないとの意識とは裏腹に、なかなか寝付けない。「僕のミスで負けた」。少し寝酒までしてみた。それでも睡魔は来ない。「寝付けたのは、午前3時過ぎでしたかね」。心の中で自らと闘い続けた。
「みんな、厳しかったですね」。まぶたを閉じてから約6時間後、全体練習前の静まり返ったグラウンドで、亀井は苦笑いしながらぽつりと漏らした。分かっていたとはいえ、一夜明けると、原監督の言葉やメディアの酷評が待っていた。「期待の裏返し、そうなのかもしれないですけど…」。自分への悔しさ、プライド…。渦巻く感情をのみ込み、最後は「頑張りますよ」とほほ笑んでロッカー室へ消えた。「取り返そうと思ってグラウンドに来ました」。この日に懸ける思いは、誰よりも違っていた。
前日のミスを取り返す一撃は、6回の犠打失敗も取り返した。原監督は「非常に大きな仕事をしてくれました」と称賛しつつ「まだまだ!
貸している部分はたくさんあるよ。いいきっかけになってくれるとね」と続けた。打率は1割6分1厘。亀井も「まだ返しきれていない。数字を見ても分かるように、結果を出していないので」と満足せず言った。カメのようにゆっくりと…ではなく、亀井はここから加速度を付けて復活ロードを歩んでいく。【浜本卓也】



