ノーモア・ペニー!

 ソフトバンクは14日、新外国人右腕テリー・ドイル投手(26)の獲得を発表した。先発タイプで、メジャー経験はないが数学教師の免許を持つなど良識的な努力家。わがまま放題で今季1勝もせずに退団したメジャー119勝右腕のブラッド・ペニー(34=ジャイアンツ3A)とは、対照的な助っ人だ。推定年俸3500万円+出来高の格安で、来季は球団が契約の選択権を持つ。16日に福岡入りし、17日に入団会見を行う。

 新外国人ドイルは退団したペニーの背番号「31」を引き継ぐが、実績や性格は正反対の助っ人だ。石渡編成部長は「性格を第一に選んだわけではないですが、頭がよく順応性がある。本人も日本で成長したいと言っている」と説明。駐米スカウトが、性格をしっかり調査して獲得したという。

 ペニーはキャンプ中からチームに溶け込もうとせず、1試合64球を投げただけで退団。チームを振り回した末に5月8日に退団し「アメリカに戻れて最高だぜ」とツイッターでつぶやいた。帰国後ジャイアンツとマイナー契約を結ぶなど、徹底的になめられた。

 新外国人ドイルはメジャー経験がなく、実績ではペニーに遠く及ばない。今春はツインズのキャンプに参加したが生き残れず、ホワイトソックス傘下3Aシャーロットと契約。これが、初の3Aとなった。ソフトバンクとの契約は推定年俸3500万円+出来高で、単純比較では当初2億5000万円とされたペニーの7分の1以下だ。

 人柄を物語るようなユニークな経歴もある。ボストン・カレッジでは数学を専攻し、在学中の07年にドジャースから21巡目で指名を受けるも、教員免許を取得するため拒否。卒業した翌08年に、ホワイトソックスの37巡目指名で入団した。オフには臨時教師として教壇に立っており、球界では超異例のピッチング・ティーチャーだ。

 ドイルの映像をチェックした秋山監督は「打者がタイミングが取りづらい」と説明した。140キロ台中盤の速球とカーブ、スライダー、チェンジアップを投げ分け、レンジャーズ(元広島)ルイスに似たタイプだという。

 16日に来日し、早ければ7月10日からのオールスター前の9連戦で先発デビューする。プライドと実績だけで働かない助っ人はもうごめん。秋山監督は「日本に適応できるか。こっちの打者は(球を)見てくるからな」と期待した。【石橋隆雄】

 ◆テリー・ドイル

 1985年11月2日、米国出身。ボストン・カレッジで数学を専攻し、教員免許を取得。08年ホワイトソックスにドラフト37巡目で入団。メジャー経験はなく、3A通算成績は12試合で6勝3敗。193センチ、113キロ。右投げ右打ち。独身。