フクドメサ~ン、ヨロシクデ~ス!

 阪神マット・マートン外野手(31)が26日、米国から韓国経由で関西国際空港に到着した。08年カブス時代の同僚でもある福留のFA加入に満面の笑みだ。過去2年は長打力アップを目指して体の巨大化を目指してきたが、昨季の不振を反省。過去最軽量の体重100キロに絞り、過去最速の来日でキャンプに備える。

 長旅でお疲れ気味。それでもニット帽を浅めにかぶり直し、柔和な笑顔で現れた。4度目の来日。マートンは「福留」という名前に優しくほほ笑んだ。

 マートン

 フクドメサンという素晴らしい選手と一緒にプレーできるのはうれしいこと。彼の過去の成功はチームにいい影響をもたらすと思うよ。

 昨年12月下旬、メジャー帰りの福留がFA加入。その10日ほど前、M砲はツイッターで「彼とチームメートになりたい!」とラブコールを送っていた。08年はシーズン途中までカブスで外野レギュラーを争った仲。結局は福留に押し出される形でアスレチックスに移籍したが、今も「仲間」という感覚。2人で同時に先発した3試合はすべて勝利というスイートメモリーもある。09年オフに阪神入団が決まった際には「とにかくしっかり準備した方がいい。日本はすごく野球に情熱的だよ」とアドバイスをもらっていた。再び共闘できる機会に深い縁を感じずにいられない。

 来日1年目の10年から2年連続でリーグ最多安打に輝きながら、昨季は打率2割6分、5本塁打と自己ワーストに低迷。第3子出産に立ち会うため来日がキャンプ途中までずれ込み、3月の左太もも裏負傷で開幕からも出遅れたのが負のスパイラルの始まりだった。心機一転、抜け出すためにオフは変化にこだわった。

 マートン

 一番重点を置いたのは硬い体を柔らかくすること。年齢を重ねるごとに重たいものをあげるより、体を軽くして俊敏性をあげようと。体重は去年の今頃より4キロ軽くなって100キロぐらい。これまでは1年目の時が一番軽かったけど、今の方が軽いかな。

 過去2年は長打力増を狙い、ウエートによる肉体強化を続けていた。結果的に不振を招き、反省点もあるのだろう。日本記録のシーズン214安打を達成した10年以上にキレキレな肉体が、再起の土台となる。昨年10月に帰国し、2週間後には打ち込みを開始。室内打撃も欠かしていない。

 マートン

 自分はこれだけできるんだ、ということを証明したいんだ。

 過去最速の来日は気合の表れ。今日27日以降は甲子園などで体を動かし、満を持してキャンプ地・沖縄に入る。脳裏にこびりついた12年の思い出は、快音とともに空のかなたへ吹き飛ばす。【佐井陽介】

 ◆福留とマートンの共演

 福留がカブスに加入した08年、同じ試合に出場したのは計17試合ある。先発出場が多かった福留に対し、マートンは代打などでの出場が主だった。初の同時先発だった6月20日ホワイトソックス戦は福留が中堅、マートンが左翼。ともに2安打した。2人の同時先発は3試合あり、すべて勝利。また、6月17日のレイズ戦では3打数無安打の先発マートンに代打福留が送られヒットを放ったことも。マートンが同年7月初めにアスレチックスへ移籍したため、2人の競演は約4カ月ほどだった。

 ◆昨季のマートン

 広いと感じるストライクゾーンに不満を示し、快音が続かないことが精神的な不安にもつながる悪循環だった。守備を巡って能見を「キライ」と発言した舌禍騒動、拙守を厳しく指摘した関川コーチへの造反劇などプレーに集中できず。初の2軍降格も味わった。12年シーズンは阪神の3年間で自己ワースト。