阪神和田豊監督(50)が球宴前最後の6連戦へ向けて、猛ノックを行った。沖縄から帰阪した後、甲子園球場で、前日2失策の坂克彦内野手(27)に対し、約30分間、バットを振るった。優勝を狙う上でも重要な意味を持つDeNA、巨人との本拠地6連戦。奪首もかかる真夏の決戦へ、指揮官は燃えている。

 したたる汗が燃える胸の内を表していたのかもしれない。南国・沖縄から帰阪した直後、甲子園球場での指名練習に姿を見せた和田監督は早速、前半戦6連戦へ向けて激しい動きを見せた。鉄は熱いうちに打て-。前日の中日戦で2失策の坂に、個別ノックを行ったのだ。

 沖縄にも負けないほどの猛暑の中、約30分間にわたって、バットを振るった。三塁手としてスタメン起用されている坂も必死に食らいつく。2人の熱気がグラウンド上の温度をさらに上げていくようだった。

 和田監督

 うちの方針として失敗したら練習をする。バントも含めて。エラーどうのこうのじゃなくてね。自分でもう1回吹っ切って、次の試合に向かわないといけないから。

 慣れない沖縄セルラー那覇のグラウンドに苦しんだ坂は2回、3回と続けて失策した。ところが、ベンチでは指揮官以下、首脳陣が「もう1回、エラーしてこい」と尻をたたいた。叱られるどころか、勇気の出る激励をもらった坂はその後、タイムリーと好守で勝利に貢献した。それでも一夜明ければ、きっちりと“反省”させるのが和田流だ。

 坂は、体調不良だった西岡、不振の新井良に代わって、5試合連続でスタメン出場している。前日には飛び入りでお立ち台にも上がり、5連勝中のラッキーボーイ的な存在だ。指揮官は相手投手の左右で、坂と新井良を併用するのかとの問いにこう答えた。

 「それもあるし、相性とか状態もあるし。流れもあるしね。片方が悪いときに、どっちかが頑張れば、またもう片方が上がってくる。そういう競争がチーム内でまた始まってくる」

 坂の活躍を見て、新井良が何も思わないはずがない。競争の激化が勝利への原動力になると、和田監督は強調した。

 練習終了後、頭のてっぺんから汗でずぶぬれになった坂が言った。

 「頑張れということだと思います」

 快進撃の中で生まれたチーム内の“熱”が、さらなる連勝を予感させる。【鈴木忠平】