<矢吹町出身

 DeNA中畑清監督>

 最後まであきらめない-。DeNA中畑清監督がチームに求め続ける姿勢は、被災地、そして故郷・福島へのメッセージでもある。「こんな弱いチームでも応援してもらえている。だから県民にも地元で人生を送り抜く環境作りを、絶対あきらめないでほしい。そのためには黙って待っていてはダメ。現場から声を送り続ける。その声が重なり合うことが、復興という2文字につながると思う」。

 都内の自宅で大きな揺れに見舞われた。「あれだけの地震は人生で初めて。恐怖感がすごくあった」。あれから3年。矢吹町で酪農を営む実家は、半年近く牛乳を出荷できない状態が続いた。幸いにも原発から離れていたことで持ち直したが、今も風評被害に悩まされる産業は多い。「福島には目に見えない敵との戦いがある。県民にはどうしようもないもどかしさ。いかに生きがい、目標を持てる環境に戻すかが、行政の最大の仕事」と力を込める。

 昨年12月、南相馬市内の仮設住宅を訪問した。復興への道のりの長さを痛感すると同時に、「あきらめないパワーを感じさせてくれた」という。「我々は絶対風化させることなく、外からメッセージを送り続ける。そういう声は、必ず人を動かすはずだから」。最後まであきらめず戦い抜く理由は、ここにもある。【佐竹実】