9月勝負や-。阪神和田豊監督(51)が逆転Vへの「青写真」を明かした。サヨナラ勝ちの勢いに乗りたかった2日DeNA戦は残念ながら雨天中止。指揮官は冷静に先を見据えた。首位巨人と6試合戦う8月は夏場対策を講じて食らいつく。西岡、大和ら離脱者が戻ってくる9月に決着-。1年前は大失速した悪夢の季節にラストVスパートをかける。

 和田監督は冷静に先を見据えていた。前夜は甲子園90周年のメモリアルゲームで劇的なサヨナラ勝ち。その勢いでDeNAに連勝といきたかったが、天には逆らえなかった。

 「なったらなったで、考えても仕方がない」

 そう語った和田監督は冷静にペナントレースを制するための「青写真」を披露した。開幕前から9月勝負との言葉があったが、そのプランを再度、念頭に置いたようだ。

 「もちろん、そこが勝負になってくる。だけど、そこに行き着くまでも、しっかりやっていかないといけない。(巨人との)直接が何試合もあるから、そこは当たり前だけど、他(球団)に対してもね。いかにタイガースの野球がこの8月できるか。そこで勝っていくことで力がついていく。それを9月に出せれば」

 これまでの猛虎にとっては悪夢の季節だ。昨季は8月末まで巨人に肉薄したが、8月27日から東京ドームで3連敗。9月には6勝16敗2分けと大失速して、優勝を逃した。同じ轍(てつ)を踏まぬよう、夏場を乗り切る対策も講じているようだ。

 「選手はもちろん、スタッフも選手をどういいコンディションにもっていくか。完全に休みをとらないといけない選手もいれば、打ち込んだ方がいい選手もいる。メリハリをつけてやっていきたい。特に昨年のことがあるんで、この夏はより一層、対策を強くもっていかないといけない」

 夏場対策として試合前練習や、試合のない月曜日の過ごし方などに変化を施す。また現在、戦線離脱中の西岡、大和、藤井らについても完全なコンディションになってから復帰させる方針。昨季、大失速した9月に戦力を整えて一気にスパートする。

 「みんな一緒に帰ってくるわけではないけど、最後のヤマ場となるゲームにいかにメンバーが戻ってきていいコンディションで勝負できるか。そこがカギだと思っている。ただ、帰ってくるだけではなく、いい状態で帰ってきてくれるように、今はやるべきことをやってほしい」

 9月9日から巨人3連戦で始まる9連戦が待っている。そこが和田監督の言う“勝負”なのか。雨の降りしきる甲子園で、指揮官は逆転優勝への道程を再確認していた。【鈴木忠平】

 ◆阪神の上積み要素

 7月23日に西岡が背中痛、26日に大和が左腹斜筋肉離れで、29日には藤井が右肘痛で出場選手登録抹消。それぞれ復帰メドは不透明ながら、完治させて戦列に戻す方針。中継ぎ要員では3年目松田が今日3日、今季初実戦に臨み1軍昇格を目指す。右手中指を負傷した2年目金田もブルペン投球を再開した。今季の1軍経験者では投手では秋山、岩本、加藤ら、野手では緒方、柴田、荒木、日高らがファームで調整し、1軍昇格を目指している。