<DeNA8-2阪神>◇16日◇横浜

 僚友に贈る1発だった。DeNA梶谷隆幸外野手(25)が先制、そして決勝の一打となる2ランを放った。13日中日戦の守備中に激突した筒香嘉智内野手(22)が、緊急搬送されてそのまま入院。仲良しということもあり、負傷離脱に心を痛めていた。責任を感じて、そのショックを振り払うかのように、一振りで決めた。チームも、阪神戦の連敗を7で止めた。

 捉えた瞬間、本塁打を確信した。DeNA梶谷は超満員となった観衆の声援を背に、ゆっくりダイヤモンドを1周した。阪神秋山の抜けた134キロのカットボールを見逃さなかった。打球はあっという間に右翼席に突き刺さった。「『筒香見てた?

 ホームラン打法』です。久々で入ると思わなかった」と笑った。決勝アーチを筒香に贈った。

 何としても打ちたかった。13日の中日戦で筒香と激突し、筒香は緊急搬送されそのまま入院。「その時のゴウ(筒香)の顔は今でも浮かんでくる。本当にショックだった」。その日の試合中に「筒香は無事」と中畑監督らから報告を受けるも、動揺は隠せず、プレーに影響し途中交代した。試合終了後、石川らと食事の約束をしていたが断り、宿舎にこもった。「ゴウ(筒香)からは『あまり気にしないで』って言われるけど、今でも1人でいるのは嫌で、誰かと話していたい」。キャッチボールの相手、プライベートでも食事に行くなど、常に一緒にいる仲間だけにショックは大きかった。

 14日の朝、中畑監督と筒香の状態を知りたくて、病院を見舞った。中畑監督は「梶谷も顔を見てホッとした様子だった」。2人きりで約30分間話し合った。お互いに目を赤くした。体の状態を確認しあっただけ。口数は少なかったが、互いに通じるものがあった。

 筒香の思いを乗せて振り抜いた。この日の試合後には筒香からLINEが来た。「『ヒーローインタビューの顔、ブサイク』って画像が来たんですよ。かわいい後輩ですよ」と笑った。昨季も8、9月に16本塁打を量産。今季も8月の打率は3割4分1厘と好調をキープする。「筒香が来るまでは僕が何とかしたい」。筒香がいない間は「夏男」の梶谷がチームを支える。【細江純平】