中日がオリックスからFA(フリーエージェント)宣言した金子千尋投手(31)の獲得に乗り出す。FA申請締め切りの11日、同投手が権利行使を宣言。先発補強を最大の課題とする谷繁元信兼任監督(43)は獲得に意欲をみせた。金子はポスティングシステムでのメジャー挑戦も視野に入れており、オリックスが容認した場合、日米大争奪戦に発展する可能性が出てきた。

 吉報だった。練習試合を終えた谷繁兼任監督のもとに「金子FA宣言」の情報が舞い込んだ。

 右腕への興味について「はい、先発(投手)ですから。FA選手が(市場に)出たということで」とにこやかに反応。現場として獲得を要望するかという問いにも「もちろん。(具体的な動きは)これからでしょうけど」と即答した。

 先発補強は今オフ一番のポイント。シーズン終了後、白井オーナーからは「監督のやりたいようにやってくれ」と支援を約束されていた。当初から金子は最大級のターゲットだった。

 だが当人が権利行使しなければ手を出せない。メジャーへの興味を口にするなど獲得の期待はしぼんでいたかに思われた。願ってもない展開になった今、競合球団があったとしても簡単に引くつもりはない。

 今年、規定投球回数を満たしたのは山井、大野の2人だけ。投手陣再建に向け、森ヘッドコーチが外国人獲得のためドミニカ共和国に滞在中。ドラフトは1位で野村亮介(21=三菱日立パワーシステムズ横浜)2位で浜田智博(22=九産大)と上位2枠を即戦力投手に割いた。また、オリックスを戦力外になった実力派左腕の八木を獲得する。それでも、大黒柱を任せられる沢村賞右腕は別格。何が何でもほしい存在だ。

 新潟生まれの金子は長野商を経てトヨタ自動車に進んだ。愛知県になじみがあるのはもちろん、トヨタでは1歳下の中日吉見とプレーし、オフの自主トレを古巣のグラウンドでともにしてきた間柄。環境面のアドバンテージはあるはず。

 金子の選択肢はオリックス残留、メジャー、国内移籍など数多く、結末はまだ見えない。交渉解禁は13日。球団内で正式なGOが出れば、最大級の熱意をもってアタックする。

 ◆中日の先発事情

 今季1年間ローテを守ったのは山井だけ。13勝5敗で勝ち星、勝率の2冠を獲得した。続くのは2年連続10勝の大野。6勝の雄太、5勝の浜田。5勝したカブレラは去就が流動的。実績のある吉見、川上らの復活や、若手の台頭、新外国人、ドラフト指名選手に期待せざるを得ない状況だ。