阪神から海外FA宣言した鳥谷敬内野手(33)が26日、ベストナインの表彰で都内での「NPB

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 2014」に出席し、今オフ初めて公の場でメジャーにかける思いを明かした。阪神球団の熱烈な残留要請に感謝しながらも「何を言われて変わるわけではない」と覚悟を表現。期限を設けず、腰をすえてメジャー球団との交渉を進めていく構えだ。

 いまさら夢にかける思いがブレるわけがない。覚悟を決めて、海外FA権を行使したのだから。鳥谷が今オフ初めて、公の場でメジャー挑戦への決意をはっきり語った。ブルーのスーツに身を包み、都内にある超高級ホテルの会場に登場。冷静に、それでいて力強く胸中を明かした。

 「何を言われて変わるわけではない。自分で考えて、家族にも相談して決めたい」

 日本シリーズ終了直後には和田監督から連絡をもらい、「トリがいなくては」という熱意を受け取った。全力で残留要請を続ける球団側からは、17日の残留交渉でも慰留された。熱烈なラブコールの数々に感謝しつつも、長年の夢であるメジャー挑戦への気持ちにブレはない。

 海外FA権行使を決断した時から、長期戦を覚悟していた。メジャーでは大物FA選手の動向がはっきりして初めて、市場が活発化する。ビッグネームの契約条件からその年の相場が見え始め、各球団が獲得レースを本格化させる。そういう意味ではここ数日、はっきりした動きがあった。

 ドジャースFAの遊撃手ハンリー・ラミレス(30)、ジャイアンツFAの三塁手パブロ・サンドバル(28)の2人がレッドソックスと総額100億円超の大型契約を結んだ。いよいよ今オフの内野手市場が動き始めた合図だ。敏腕代理人スコット・ボラス氏が腕を鳴らす時期がやってくる。

 「向こうのことは全部代理人に任せて、来年しっかり動ける体を作っていく」。メジャー挑戦に向け、より強靱(きょうじん)な体を作り上げるつもりだ。「急にホームランを打てないし、足が速くなるわけでもない。ケガをしない体をしっかり作りたい」。現状、プランに狂いはない。

 メジャー関係者が集結し、FAやトレードの交渉が行われるウインターミーティングは12月8日(日本時間9日)に始まる。この時期をめどに多くの交渉がまとまっていくのがメジャーの流れ。今オフは内野手の売り手市場。ナショナルズなど複数球団が鳥谷の獲得調査を行っており、二塁レギュラーを狙えるチームからオファーが届く可能性は十分ある。

 「向こうの状況を把握して、考えて決めればいい」

 腰をすえてメジャー球団のオファーを吟味する構え。焦らずじっくり、ベストの答えを導き出す。【佐井陽介】<FA鳥谷の経緯>

 ◆10月30日

 海外FA権行使の意思が判明も、日本シリーズ敗退後「ゆっくり考えます」とだけ話した。

 ◆11月4日

 ヤフースポーツやニューヨーク・ポスト電子版などの米メディアに「鳥谷メジャー移籍」に関する記事が登場。

 ◆6日

 極秘渡米。代理人の選定など、移籍への本格準備をスタート。

 ◆11日

 球団にFA申請書類を提出。球団がNPBに手続きを行った。

 ◆13日

 代理人がスコット・ボラス氏に決定したことが判明。ナショナルズなどが獲得調査進める。

 ◆17日

 阪神と残留交渉、慰留受けるも保留。

 ◆21日

 阪神和田監督がすでに鳥谷と直接連絡を取り慰留したと明かす。

 ◆24日

 甲子園クラブハウスを訪れた鳥谷が12月8日に始まるウインターミーティング前後に進路の結論が出るかと問われ「出ることはない」。