抑えはオレ!

 中日岩瀬仁紀投手(37)が13日、名古屋市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、2000万円アップの推定年俸4億5000万円でサインした。セ・リーグでは契約を終えた日本選手の最高額となった。今季は通算300セーブの金字塔を打ち立てながら衰えを指摘されたが、ストッパーの座を誰にも譲らないことを宣言した。(金額は推定)

 交渉を終えた岩瀬は納得の表情だった。56試合で37セーブ、防御率1・48。申し分のない成績で球団史上初の連覇に貢献した守護神に球団側は最大限の評価をしてくれた。

 「納得して判を押しました。連覇したので上げてもらいました。本当に毎年ご苦労さま、来年も期待していると言ってもらいました」

 2000万円アップの推定年俸4億5000万円。この時点で、まだ契約していない巨人小笠原を抜いてリーグ単独トップに立った。セーブ日本記録を更新し、史上初の通算300セーブに到達した守護神にふさわしい金額だった。

 実績も、年俸も、球界トップに君臨している岩瀬だが、まだまだ闘志はみなぎっている。今季はセットアッパー浅尾がリーグMVPを獲得。成長著しい浅尾が最終回を任されたこともある中で岩瀬に対して衰えを指摘する声も聞かれた。だが、鉄腕はそんな周囲の声を一蹴する気迫を見せた。

 「やはり抑えは1人だというのは自分で思っている。そこをしっかり守っていきたい。そこを任せられるようにやっていきたい」

 こう言い切った裏には絶対的な自信が見え隠れする。確かに走者を許す場面は増えたかもしれない。それでもリードを保ったまま試合を終わらせる経験と技術は他の追随を許さない。

 「走者を出しても得点させない。勝ったまま試合を終えるのが自分のスタイル。前半悪かったのは痛いところがあったので…」

 前半戦は苦しんだが、それは右腕などの故障を抱えていたのが理由だった。すでにオフを利用して体のメンテナンスを着々と進めている。

 「引き出しがなくなってきたのは事実。変化球なのか、トレーニング方法なのか、新しく何かを見つけていかないといけない」

 新生高木竜でも、試合の幕を下ろすのはオレだ-。そんな鬼気迫る思いが伝わってきた。【鈴木忠平】