<仙台6大学野球:東北学院大5-1仙台大>◇最終節第2日◇12日◇東北福祉大野球場

 東北学院大の井上信志内野手(4年=仙台育英)が2安打を放って通算101安打とし、リーグ最多安打記録を更新した。4回の中前打で100本に並ぶと、タイブレークの延長10回1死満塁から右前に決勝適時打。前日11日にノーヒットノーランで敗れた仙台大に雪辱し、1勝1敗のタイに持ち込んだ。

 東北学院大の安打製造機が、歴史を塗り替えた。タイブレークの延長10回表1死満塁、菅井監督は「迷いはなかった」と新記録達成がかかる井上主将を打席に送った。1ストライクからの2球目、外寄りの直球を逆らわずにミートした鋭い打球は一、二塁間を破る決勝打。06~09年に仙台大・安田尚造内野手がマークした数字を上回る101安打目に「タイブレークでも記録になると聞いていたし、チームに勢いをつけたかった」と笑顔がはじけた。

 試行錯誤の末にたどり着いた大台だった。「99本で終わったらダサいので、どうしても回避したかった」と、4回にチーム初安打となる100本目。スタンドからの歓声に加え、仙台大の応援席からも拍手が湧き起こった。塁上で白い歯を見せた井上は「苦しい時期があったから、記録が迫っても悪い時を思い出して平常心でいられた」。今春は自己ワーストの打率2割5分6厘。この秋からバットの長さを84センチから84・5センチに変え、左小指をグリップエンドにつけるスタイルに変更。「バットを長く持って、遠心力を生かしてボールをとらえる」という新打法で金字塔を打ち立てた。

 右打者だからこその価値がある。左打席より一塁までの距離があるだけでなく「打った後に左足が三塁方向に流れるので、左打者より2歩くらいは損してます」と笑う。50メートル6秒1の足があっても、内野安打はほとんどない。1年春からケガなく試合出場を続け、歴史に名を刻んだ。「ずっと使ってくれた監督さん、丈夫な体に産んでくれた両親に感謝したい」。今日13日がリーグ最終戦。さらに安打を重ねて不滅の記録にするつもりだ。【鹿野雄太】

 ◆井上信志(いのうえ・しんじ)1992年(平4)4月2日、宮城県石巻市生まれ。石巻中を卒業後、仙台育英高に進学。2年秋から主将を務め、3年夏に甲子園16強。東北学院大では1年春からベンチ入り。秋からレギュラーを勝ち取り、今春から主将に就任。173センチ、75キロ。右投げ右打ち。血液型O。