K-1ファイター崔洪万(27)が23日、2日前に入隊したばかりの韓国陸軍から「帰宅措置」を受けた。以前からあった脳腫瘍(しゅよう)が原因とみられる。近日中に兵務庁による再検査を受ける予定で、そこで軍隊での服務が可能かどうかの最終判断が下されるという。結果次第では兵役が免除されることにもなるが、そうなればK-1のリングに上がることを韓国の世論が許さない状況。最悪の場合、格闘家引退の可能性も浮上してきた。

 「コリアンモンスター」などの愛称で親しまれているK-1ファイター崔が、現役引退のピンチにさらされた。韓国メディアは「崔が入所した韓国軍・第36歩兵師訓練所が『健康上の不安により、崔洪万を帰宅措置とした』」と報じた。テレビでは、荷物を持って軍から出所する崔の映像も映し出された。崔は「2日間だったが、みんなよくしてくれて楽しかった。残念」とコメントしている。

 軍側は個人情報保護などの観点から、具体的な理由については明らかにしていない。だが崔は21日の入所時に「視神経障害診断書」を持参しており、その内容は「脳下垂体腺腫が視神経を圧迫し、視力低下や視野障害の可能性が高いため、重度・中度以上の訓練や労働には適さない」というもの。ソウル大学病院から提出されたものだという。

 崔は昨年6月に米・ロサンゼルスで行われた「Dynamite!!

 USA」出場時にも、コミッション側に「脳の末端肥大症による腫瘍の存在」と指摘され「腫瘍は成長を続けており悪性の疑いがある」として欠場を余儀なくされた。これに対してK-1を主催するFEGと崔側は「腫瘍の成長は止まっていて、問題ない」と主張していた。

 帰宅措置を受けた崔は、近日中にも兵務庁による精密身体検査を再び受ける見込み。軍務が可能かどうかの最終判断は約1カ月後に出る結果次第だが、健康状態が軍の規定に満たない場合は除隊となるという。

 いずれにせよ今後の格闘家人生への影響は必至だ。腫瘍が悪性だった場合は手術の必要性が浮上するが、その場合は格闘技どころではない。仮に良性だったとしても「健康上の理由で軍を除隊となった人間が格闘技界に復帰する」ことを韓国の世論がよしとしない可能性が高い。軍隊に行かずに兵役の義務を果たす「公益勤務要員」という道も残されるが、この場合も世論が格闘技復帰を後押ししてくれるかどうか微妙だ。

 崔は27歳の年齢規定ギリギリで徴兵され、21日に韓国・原州にある陸軍第36歩兵師訓練所に入所。4週間の訓練後、25カ月間の兵役を務める予定だった。人なつっこい笑顔と圧倒的なパワーで人気を誇るコリアンモンスターが、格闘技人生の窮地に立たされた。