手負いの新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が優勝決定戦で大関照ノ富士(25=伊勢ケ浜)を下し、2場所連続2度目の優勝を果たした。

 表彰式に臨んだ稀勢の里は、君が代を聞きながら涙をこらえられなかった。賜杯を受け取ると、左肩の痛みに顔をしかめた。

 「本当に、この応援のおかげ、支えてくれた人のおかげです。すみません。今日は泣かないと決めていたんですが、すみません。苦しかった分、うれしいですね」と声を震わせた。本割については「気持ちだけぶつけようと思って土俵を出ました」。決定戦は「自分の力以上のものが出た。あきらめないで、最後まで力を出せて良かった」と振り返った。

 横綱として初めて迎えた15日間を振り返り「今までの相撲人生、15年間とは全く違う場所でした。横綱土俵入りも初めて務めて、疲れたというのが一番ですが、何か見えないものを感じた15日間でした」と話した。来場所へ向けて「ケガをしっかり治して、5月場所に元気な姿を見せられるように、明日から治療に専念したい。今日の千秋楽は見えない力で勝てた。もっと力をつけたいと思います」と話した。

 稀勢の里は照ノ富士を1差で追う展開だったが、本割で照ノ富士を突き落とし優勝決定戦へ持ち込んでの優勝。横綱昇進後最初の場所で意地を見せ、昇進後初優勝を決めた。