AKB48グループのメンバーが今年も被災地に笑顔と歌を届けた。東日本大震災から3年となった11日、大島優子(25)をはじめ、メンバー46人が東北3県を訪問してライブを行った。復興支援プロジェクトの一環として35回目の訪問。AKB48として最後の訪問となった大島は、グループを離れても支援を続けていきたいと話した。

 48グループによる被災地訪問が35回目となったこの日、いつもの劇場公演を行う16人というメンバー構成で初めて訪れた。石巻総合体育館に集まった子供ら900人が、メンバーの中に大島を見つけると、歓声はひときわ大きくなった。マイクの調子が悪く、音声が出ないトラブルもあったが大島は「皆さん、こんばんは~!

 今日は一緒に歌って踊ってください」と動じることなく、地声で呼びかけた。歓声を浴びながら「ヘビーローテーション」などを歌った。

 石巻市内も復興の道半ばだ。ライブ前には会場から徒歩15分ほどの門脇地区にある「がんばろう!

 石巻」と書かれた看板を見学した。震災1カ月後、有志が地元の人を励ましたいと立てたものという。今も周囲に建物はほとんどないが、多くの人が献花に訪れるなど、市民も大切にしている場所だ。強風の中、大島は神妙な面持ちでほかのメンバーと献花を行い、約1分間、手を合わせた。「初めて行きました。いろいろな方の思いが集っている場所と聞いていて、何とも言えない気持ちになりました」と静かに語った。

 AKB48のメンバーとして、最後の被災地訪問となる。震災直後、「何かお手伝いするべきでは」と関係者に直訴したが、すぐにはかなわずラジオ番組で涙を流したこともあった。これまでに石巻を含む5カ所を訪れ、歌やハイタッチで被災者とコミュニケーションを続けてきた。「卒業を考えた時も、被災地訪問のことがかなり引っかかりました。これからは自分の夢を追い続けるとともに、被災地で夢を追い続ける人のためにも何らかの形で支援をしていきたいです」。この言葉に松井珠理奈、渡辺美優紀ら後輩たちも「私たちも活動を続けていきます」と気持ちを強めていた。

 大島は最後までファンとハイタッチを行い、笑顔を届けた。最後に「また会いに来ます!」と再会を約束していた。【大友陽平】