星組トップ柚希礼音と相手娘役の夢咲ねね、現役最長トップコンビの退団公演は、兵庫・宝塚大劇場で9日まで上演中だ。その新人公演「黒豹(くろひょう)の如(ごと)く」で入団5年、夢咲の背中を追ってきた綺咲愛里がヒロインを演じる。主演は礼真琴で東京宝塚劇場は4月9日。

 綺咲の新人公演ヒロインは2作連続2回目。夢咲は柚希の相手役を務めて6年。娘役として絶好の手本だ。

 「入ったときから、ねねさんがトップでいらして、かつらや身のこなし、お芝居の深さも学ばせていただいた。丁寧に教えていただき、今回は最後のお役。うれしく、責任も感じます。柚希さんのお隣にいつもいらっしゃり、より格好良く男役さんを見せる力を感じます。私もどなたの隣にいても、そうありたい」

 娘役は演技などの力だけではなく、組む男役との相性なども必要とされる。

 「もともと、入るまでは宝塚を知らなくて。クラシックバレエ、ピアノを習っていて、地元なので先生が(受験を)勧めてくれたのがきっかけでした」

 演劇科のある宝塚北高に進学したが、入団は考えてはいなかった。だが、一発合格を果たした。

 「両親も『まさか』と驚きが大きくて。私も高校も近いし、通いながらでいいのかと思っていたぐらい(笑い)。心の準備がなく、入ってから大変でした」

 同期の咲妃みゆが雪組、花乃まりあは花組のトップ娘役に就き刺激を受けた。

 「誇りの同期。身近な同期がそういう立場に立ち、お芝居や踊り、すべてが参考になります。私自身の武器? ない…。あ、筋肉質なところかも」。照れながらダンス好きを明かした。芸名は「綺麗(きれい)に咲く」の字から決めた。着実に好機を生かし、いつか大輪の花を咲かせる。【村上久美子】

 ◆黒豹(くろひょう)の如(ごと)く 劇団のベテラン作家、柴田侑宏氏が10年ぶりに書き下ろした新作。スペイン海軍大佐(礼真琴)が、かつての恋人で夫を亡くしたカテリーナ(綺咲)と再会して展開される大恋愛劇。本公演は柚希、夢咲の退団公演で、2人の持ち味を生かしたデュエットダンスの場面も多い。

 ☆綺咲愛里(きさき・あいり)10月30日、兵庫県川西市生まれ。10年「スカーレット・ピンパーネル」で初舞台。その後、星組配属。昨年7月「The Lost Glory-美しき幻影-」新人公演で初ヒロイン。身長162センチ。愛称「あーちゃん」。