星組の新トップ、紅(くれない)ゆずるの相手役に就いた綺咲愛里(きさき・あいり)。座右の銘は「有言実行」。中学時代から変わらない。強い意志を持って、望みをかなえてきた。

 「ずっと星組で育ち、さゆみさん(紅)には下級生の頃からお世話になり、さゆみさんありきの自分。全力でついていきたい」

 本拠地お披露目「スカーレット・ピンパーネル」は宝塚大劇場公演を終え、東京宝塚劇場公演がスタートしたばかり。紅から「1人の役者として舞台に立て」と言われ、謎の貴族・パーシーの妻で元女優のマルグリットを熱演している。

 「(紅の)大きな愛に甘んじることなく、しっかりと。パワーのあるエネルギッシュな星組をパワフルに引っ張っていかれる、さゆみさんの一番近い存在でいさせてもらえるのだから」

 「前のめりでいけ!」と勧める紅は大阪府出身。綺咲も同じ関西の兵庫県出身だが「普段の私は前のめりでは…」と苦笑い。それでも「星組がそういう組なので。その力をお借りして、私もアタッカーでいきたいです」と力強く語る。

 けいこ場では失敗を恐れず、チャレンジするのが星組。トップ娘役としては個性の童顔が悩み。舞台メークも試行錯誤し、普段の持ち物、洋服から「シンプル、無地の大人っぽいもの」を選ぶようになった。

 紅演じるパーシーとの結婚式場面もある。初舞台は、月組が再演した今作。

 「(当時月組トップコンビの)霧矢(大夢)さんと蒼乃(夕妃)さんの結婚式場面を、見るたびに幸せになったのを覚えています。実際に、私も今、本当に結婚式の場面は幸せ」

 娘役の妙味を「キュンキュンできる」と表現する。明日海りおの相手役として台湾公演にも出演した元花組トップ娘役花乃まりあ、早霧せいなと名コンビを築く雪組トップ娘役、咲妃みゆは同期。学びも多い。

 「就任が決まり、花乃と咲妃(みゆ)が(トップ娘役の心得を)教えてくれました。咲妃は今、サヨナラ公演中なので、応援しつつ、見納めておきたい」

 東京宝塚劇場での公演は6月11日まで。

 ◆ミュージカル「THE SCARLET PIMPERNEL」(スカーレット・ピンパーネル)(潤色・演出=小池修一郎氏) 97年にブロードウェーで初演。日本では08年、安蘭けい主演の星組で初上演され、宝塚版では冒険活劇、すれ違う夫婦の心理描写を濃く描写。10年に月組で再演された。フランス革命後、貴族たちを処刑する恐怖政治に反感を抱く英貴族パーシー(紅)の活躍を描く。綺咲は、パーシーの妻で元女優のマルグリット役。

 ☆綺咲愛里(きさき・あいり)10月30日、兵庫県川西市生まれ。10年入団。月組「スカーレット・ピンパーネル」が初舞台。星組配属。3年目で紅バウ公演の相手役、14年「The Lost Glory」から3作連続新人ヒロイン。昨年11月21日付で、星組トップ娘役就任。身長163センチ。愛称「あーちゃん」。