現在東京宝塚劇場で上演中の星組ミュージカル「The Lost Glory-美しき幻影-」の新人公演が25日に行われる。主演は新人最終年の7年目男役、麻央侑希が務め、元雪組トップで理事、専科スターの轟悠が演じている主人公を任される。プロ野球の名監督で名遊撃手だった祖父広岡達朗氏(82)譲りのシャープなプレーが舞台に映える。

 入団1年目から阪急電鉄沿線の初詣ポスターに起用されるなど、注目の大器も7年目を迎えた。11年「ノバ・ボサ・ノバ」以来、3年ぶり2度目の新人公演“センター”に臨む。

 「いよいよ新公の一番上の学年。その時期に(2度目の主役は)純粋にうれしい」

 3年前の新人公演は175センチの長身を生かした迫力、勢いが圧倒的。終演後に感極まることもなく、達成感に満ちた笑顔を見せた。

 「あははは! はい、あの時はすいません。怖いもの知らずというか、最近は落ち着きも出てきて…。でも、あの頃の勢いは失わず、繊細さも身につけたい」

 体もほっそりとし、顔つきもシャープになった。

 「変わったと思います。内面も、男役として(本役の)轟さんを見ながら、自分の中で大きい変化が起きたらと、思っています」

 今作は、シェークスピアの「オセロー」をモチーフに、1920年代のニューヨークで展開される男女の愛憎ドラマ。今回の本役、轟とは、昨年の轟主演作「南太平洋」でも共演した。

 「轟さんは雲の上の存在感。男役としてたたずまいから完璧。お稽古場でも、服装もきれいで髪形から何まで、美しすぎる。私も、つねに美しい自分でいられるようにって。表情ひとつ、アドバイス、言葉に深み、重みがあるんです」

 私服選びも変わった。映画や音楽、趣味でも舞台に生かすヒントを探すようになった。体のケアも…。

 「温泉好きでしたが、サウナにも入るようになって、水風呂の良さに気づきました。家でも、入浴時間を工夫しようと、熱めのシャワーを浴びて、水風呂。すべてを洗い流し、気持ちも楽になる感じ」

 心身の疲労が洗い流され、引き締まるという。

 「水風呂に香りは…入れません! オンリー水(水だけ)ですっ! 男らしいですかね? ははは」

 祖父広岡氏は合気道で鍛えた心身を武器に、基本に忠実な守備で巨人長嶋と三遊間を組んだ。監督としては徹底した選手管理でヤクルト、西武を日本一に導くなど、厳格でクールな印象まで伝説として残る人物だ。宝塚の門をたたく時に「やりたいことがあるなら、一生懸命やりなさい」と後押しされた孫娘は今、愛すべき豪快さを残したまま洗練され、輝きを放っている。【村上久美子】

 ◆ミュージカル「The Lost Glory-美しき幻影-」 シェークスピアの「オセロー」をモチーフに、第1次世界大戦後の好景気にわくニューヨークが舞台。不屈の精神でアメリカンドリームを実現した男オットーが、報復に燃えるイヴァーノにだまされ、妻へ不貞疑念を抱き、愛憎劇が繰り広げられる。

 ☆麻央侑希(まお・ゆうき)12月13日生まれ。神奈川県生まれ。08年に「ME AND MY GIRL」で初舞台。星組に配属。09年の阪急電鉄初詣ポスターのイメージキャラクター。11年「ノバ・ボサ・ノバ」で新人公演初主演。身長175センチ。愛称「ゆっこ」「マオ」。父は広岡氏の長男。