大阪の吉本興業が18日、AKB48グループの「NMB48」専用劇場や、若手中心の劇場「5upよしもと」、ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)などが入るビル「YES・NAMBA」(大阪市中央区)を、売却することを発表した。同ビルは96年、同社の本拠地・なんばグランド花月(NGK)の向かいに建てられ、地下1階、地上8階建てで、1~3階には、ジュンク堂書店千日前店も入っている。

 お笑いの大阪文化を代表する吉本にとって、同ビルのある千日前にはNGKや、本社ビルもあり、同所は会社の本丸。その向かいに建てられた同ビル地階には、11年にNMB48劇場がオープンするまで、未来のダウンタウン、ナイティナインを育てようと、99年秋に若手育成劇場として「baseよしもと」を開き、運営していた。COWCOW、次長課長、陣内智則、チュートリアル、フットボールアワー、キングコング、友近、南海キャンディーズ、ジャルジャルら、多くの人気芸人を輩出してきた。

 現在、若手劇場は、5階の「5upよしもと」へ移設されているが、同社はこの日、売却後も、NMB48劇場を含め「移転の予定などはなく、引き続き弊社グループにて運営して参りますのでご安心ください」とコメントした。

 また、一部で「売却益を借金返済に回して経営の立て直しを図る」と報じられたことを否定。同社は「平成20年3月期に発表しましたとおり、タレントマネジメントを基盤とした最強のコンテンツ制作会社になるという中長期経営戦略に従い、その一環として(同ビル売却は)予定されていたもの」とし、複数の購入希望先との交渉を経て、今月15日付で譲渡契約を締結したことを明らかにした。